2011 Fiscal Year Research-status Report
マクロピノサイトーシスによる反発性軸索誘導機構の解明と脊髄損傷治療への応用
Project/Area Number |
23590274
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
樺山 博之 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 研究員 (10332339)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | マクロピノサイトーシス / 成長円錐 / 反発性軸索誘導 / syntaxin1B / neurotoxin C1 |
Research Abstract |
神経突起伸長は神経回路形成に重要な過程であり、エクソサイトーシスによる細胞膜面積の増大により達成されると仮定されている。突起伸長の抑制は間違った標的とシナプス形成しないために必須な過程であるが、これはエクソサイトーシスの抑制により達成されると信じられている。しかし、研究代表者は神経突起伸長の抑制がエクソサイトーシスの抑制ではなく、マクロピノサイトーシスという特殊なエンドサイトーシスによる細胞膜の大規模な細胞内への回収により達成されるという、今までの仮説を覆す発見をした。しかも、神経回路形成に重要であるカルシウムや反発性ガイダンス分子がマクロピノサイトーシスを誘導することで突起伸長を抑制している事を明らかにした。本研究ではそのマクロピノサイトーシスによる新規な反発性軸索誘導機構を明らかにすることを目的とする。平成23年度は、Neurotoxin C1によるvacuole形成はマクロピノサイトーシスによって形成され、syntaxin1Bがマクロピノサイトーシスの負の制御因子である。(2)semaphorin3Aシグナリングやephrin-A2により、syntaxin1Bの発現が成長円錐で抑制される事も明らかにし、さらにsyntaxin1の過剰発現によって、semaphorin3Aによるマクロピノサイトーシスが抑制され、成長円錐のコラプスも抑制される事も明らかとなった。さらに、(3)Neurotoxin C1やsemaphorin3Aによる成長円錐のコラプスはマクロピノサイトーシスの特異的阻害剤のアミロライドによりほぼ完全に抑制されることも明らかにした(Journal of Neuroscience.2011 May;31(20):7357-7364)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
反発性軸索誘導にマクロピノサイトーシスが関与すること、さらにマクロピノサイトーシスの分子機構にsyntaxin1Bが関与していることをつきとめ、誌上発表することが出来た(Journal of Neuroscience.2011)。さらに、syntaxin1Bの下流分子の探索を行い、Git1依存性マクロピノサイトーシスをsyntaxi1Bが負に制御している可能性を見出した。また、syntaxin1B結合分子としてIP3Rを同定し誌上発表することが出来た(Journal of Physiological Sciences. 2011)。
|
Strategy for Future Research Activity |
syntaxin1Bがどのようにマクロピノサイトーシスを抑制しているか分子レベルで解明していく。syntaxin1Bの下流候補分子であるGit1やIP3Rの成長円錐における役割も解明していく。また、反発性軸索誘導分子であるsema3aやephrin-A2によってsyntaxin1Bの発現が抑制される分子メカニズムの解明も行う。明らかにした分子メカニズムが脊髄損傷治療に応用できるかを検討していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)Git1とsyntaxin1Bが複合体を形成するかの生化学的解析をさらに進める。また、Git1がマクロピノサイトーシスの正の制御因子であるかもNIH3T3細胞や背根神経節(DRG)神経細胞を用いて調べて行く。2)IP3Rからのカルシウム放出がマクロピノサイトーシスを誘導するかをNIH3T3細胞やDRG神経細胞で検討する。もしカルシウム放出がマクロピノサイトーシスを誘導した場合、syntaxin1Bの過剰発現でマクロピノサイトーシスを抑制できるかを検討していく。3)マウスを用いて脊髄損傷時にマクロピノサイトーシスが誘導されるかを検討する。誘導された場合、マクロピノサイトーシス阻害剤で脊髄損傷からの回復が促進されるかを検討する。以上の研究を推進するため、次年度の研究費は主に、生化学的試薬、細胞培養関連試薬、実験動物試薬、イメージング用試薬などの購入にあてる。
|
Research Products
(6 results)