2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23590279
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
谷口 睦男 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10304677)
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Keywords | 鋤鼻系 / 電気生理学 / 代謝型グルタミン酸受容体 / シグナル伝達 / 相反性シナプス |
Research Abstract |
本研究の研究対象である僧帽細胞-顆粒細胞間相反性シナプス伝達の性質を多角的に捉え、フェロモン記憶の仕組みを理解するため、本年度は上記相反性シナプス電流に及ぼす新たな機能分子の探索を試みた。相反性シナプス電流に対する各種薬物の作用を電気生理学的手法により測定し、以下の成果を得た。 1. 当研究室では僧帽細胞の軸索束(外側嗅索LOT)を逆行性に刺激すると、僧帽細胞から顆粒細胞へのシナプス伝達に長期増強(LTP)が誘導されることを、スライス標本からの集合電位記録により見出している。フェロモン記憶に関与することが示唆されている機能分子のうち、ノルアドレナリンがLTPの誘導に促進的に働くことも見出している。そこで本年度はバソプレッシンについて同様の実験を行い、ノルアドレナリンと同様に促進作用があることを見出した。 2.マウス副嗅球の僧帽細胞にwhole-cell plamp法を適用し、脱分極刺激により生じる抑制性シナプス後電流(IPSC)を測定した。このIPSCは、バソプレッシンにより300±61 pA・sから138±14 pA・s(コントロールの53.9%±7.3%、p<0.01)に抑制された。このIPSCに対する抑制作用は、バソプレッシン受容体阻害薬の共投与により減弱した(279±46 pA・s)。以上の結果は、IPSCの発生にバソプレッシン受容体が重要な役割を果たしていることを示唆した。 3. 上記第2項はメスマウスの結果である。動物の雌雄差に対するバソプレッシンの影響についても調べた。オスを用いた同様の実験により、IPSCはバソプレッシンにより568±120 pA・sから310±89 pA・s(コントロールの54.5±15.7%、p<0.01)に抑制された。以上の結果から、雌雄間では有意な差はないことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)