2013 Fiscal Year Annual Research Report
青斑核ノルアドレナリンニューロンの選択的破壊法を用いた睡眠・覚醒の神経機構の解明
Project/Area Number |
23590281
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
高橋 和巳 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90325952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 純正 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (80183812)
井樋 慶一 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (60232427)
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Keywords | 睡眠 / 覚醒 / 青斑核 / ノルアドレナリン / イムノトキシン |
Research Abstract |
睡眠・覚醒機構の重要な要素である青斑核(LC)のノルアドレナリン(NA)ニューロン群を選択的に破壊し、その影響を解析した。LC-NAニューロンに選択的にヒトインターロイキン-2受容体αサブユニットを発現したマウスの青斑核にイムノトキシンを局所注入し、その10日後にはLC-NAニューロンのみが破壊されていることを、TH抗体を用いた免疫染色法によって確認した。LC-NAニューロンを破壊したマウスの覚醒・睡眠パターンを解析した結果、明期・暗期いずれにおいても覚醒、浅い徐波睡眠、深い徐波睡眠、レム睡眠それぞれの総時間は、IL-2Rα発現マウス(Tg)と野生型マウス(WT)の間で差がなかった。覚醒の出現頻度はイムノトキシン注入後5日目からTgでWTより多くなり、覚醒の平均持続時間は注入後2日目からTgでWTより短くなった。浅い徐波睡眠の出現回数は注入後2日目から8日目までTgがWTより多くなったが、平均持続時間に差はなかった。これらの結果は、LC-NAニューロンが覚醒の維持に重要な役割を果たしていることを示唆しており、その選択的破壊が覚醒の維持を困難にし、短い覚醒を頻発させたものと考えられる。一方で、徐波睡眠中に覚醒刺激として音刺激を与えたところ、Tgにおいて頸部筋電活動に反応が見られる頻度がイムノトキシン注入後に増大したことから、LC-NAニューロンは外界からの刺激による覚醒反応の一部については抑制性の制御を行っている可能性が示唆された。また腹側視索前野の睡眠時に活動するニューロンや、視床下部後部のオレキシンニューロン、ヒスタミンニューロンなどの単一ニューロン活動を記録したが、TgとWTの間で有意な違いは見られなかった。
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Research Products
(5 results)