2012 Fiscal Year Research-status Report
組み換えアデノウイルスベクターを用いた脳の性差形成機構の解明
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23590285
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
折笠 千登世 日本医科大学, 医学部, 講師 (20270671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 康夫 東京医療学院大学, 保健医療学部, 教授 (70094307)
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Keywords | 性分化 / SDN-POA / siRNA / AVPV / EGFP |
Research Abstract |
本研究では、脳の性差がもたらされる要因を性的二型核として知られる2つの脳領域である、視索前野性的二型核(SDN-POA)視索前野脳室周囲核(AVPV)に注目して検討を行う。これら性的二型核形成にかかわるエストロゲンの影響を調べるため、EGFP 組み換えウイルスベクターを用いて生後の神経細胞新生、神経細胞移動の両面から形態学的に解析する。また、SDN-POA に発現するソマトスタチンの生理機能解析のために、既に作製されてあるラットソマトスタチン遺伝子に対するsiRNA 発現組み換えアデノウイルスベクターを用い脳内に局所感染させ、時期特異的にソマトスタチン遺伝子をノックダウンする。性的二型核性差形成にかかわる生理機能及び、嗅覚選好性を含めた性行動に及ぼす影響、内分泌学的な影響の有無をも検討することを目標としている。 本年度は、ラットソマトスタチン遺伝子に対するsiRNA 発現を用いて成体及び15日目仔ラットを用いて行った。成体での組み換えアデノウイルスベクターの側脳室周囲への感染を認めた。幼若ラットの脳定位装置を用いた組み換えアデノウイルスベクター投与による遺伝子導入は、幼若な為脳定位が困難を極めた。そこで脳定位装置を用いずに側脳室より導入を行い、ラットソマトスタチン遺伝子の発現を抑制しうるかの検討を免疫組織化学的に解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
側脳室への投与によってその周囲には感染を確認することができたが、目的とする視索前野脳室周囲核の領域までは感染を引き起こすことができなかった。ウイルスベクター遺伝子の設計を再度検討するべく連携研究者との共同研究を行い検討している。 雄においてSDN-POA でのソマトスタチン発現のピークが生後2週間とするデータを得ている(Orikasa ら2007)ため雄における機能性を十分に評価できると考えた。そこで幼若なラットの脳にソマトスタチンsiRNAを投与し、SDN-POA に発現するソマトスタチンを局所的にノックダウンし検討するべく研究をおこなった。側脳室への投与は動物への負担も軽く投与が確実に行われていることを確かめている。しかし目的とするSDN-POA領域へのアプローチができていないのが現状である。再度脳の定位装置を用い安定した投与を確立していくべく思考錯誤を繰り返している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)EGFP組換えウイルスベクターの遺伝子導入効率と作成 EGFP組換えウイルスベクターの再設計の必要性があると考える。 このEGFP組換えウイルスベクターの遺伝子導入効率を検討する。タイタ―を上げることや手法的な側面に再検討を加えた後も側脳室投与によってに脳室帯の細胞へ感染、その後脳室内全体に広がるかなどの検討を加える。 2)幼若期でのEGFP組換えウイルスベクターでの細胞移動の確認 今年度は新しく作製したEGFP組換えウイルスベクターの遺伝子導入を成体で行う事を計画している。しかる後に、幼若ラットでの感染等検討を加えていく。EGFP組換えウイルスベクターのエストロゲン受容体陽性細胞への感染の有無、目的とする脳室周囲核への感染を詳細に検討していく。EGFP免疫染色とエストロゲン受容体免疫染色による二重染色を行い検討を加えていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①免疫組織化学関連試薬抗体が必要である。実際のウイルスベクターEGFP発現強度は低いために抗EGFP抗体によって発現を増幅させ感染の有無を確認し、脳室帯の細胞へ感染し始め脳室内全体への広がり、脳室帯で有糸分裂している神経幹細胞に特異的に感染するか否かの検討を行う。 ②ウイルスベクターを回収する際に必要となってくる培養用試薬、抽出用試薬が必要である。 ③脳室内投与に供する妊娠ラットの購入が年間で複数回必要となってくる。 ④EGFP組換えウイルスベクターの遺伝子設計のための分子生物学関連試薬が必要である。
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