2013 Fiscal Year Research-status Report
長期宇宙滞在に向けた体系的なカウンターメジャーの確立
Project/Area Number |
23590288
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
西村 直記 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40278362)
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Keywords | 模擬宇宙環境暴露 / 宇宙デコンディショニング / 人工重力負荷 / 下肢運動負荷 |
Research Abstract |
宇宙飛行などの微小重力環境に長期間暴露されると、心循環系、骨代謝系、筋骨格系等の様々な系に不具合がおこる。これを総称して宇宙飛行デコンディショニングという。申請者らは、宇宙デコンディショニングを予防する対抗措置として、人工重力負荷と下肢エルゴメータ運動負荷を組み合わせた装置を考案し作成した。本装置は、被験者が半径2mの棒状回転体内で足を外側に向けて仰臥位姿勢になり、回転させることにより生ずる遠心力を利用した人工重力負荷装置と、足側に具備した下肢エルゴメータ運動負荷装置を組み合わせたものである。 これまで申請者らは、地上での20日間の模擬宇宙環境暴露実験(-6°ヘッドダウンベッドレスト)の際に本装置を用いた対抗措置を連日に行わせた群(対抗措置群)と行わせなかった群(対照群)を比較・検討した。その結果、先に述べたほとんどの宇宙デコンディショニングを回避できるとの結論を得たことから、宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)滞在中に本装置を用いた対抗措置を施行することを提案してきた。しかしながら、ISSでの運用施設のスペースの関係から、これまで使用してきた装置(半径2m)を更に小型(半径1.4m)する必要性が生じた。昨年度、ISS搭載予定の人工重力負荷+下肢エルゴメータ運動負荷装置と同様のディメンションに改造し、10日間の-6°ヘッドダウンベッドレスト実験を行った。その結果、起立耐性の低下を抑制できる可能性や骨強度の低下を抑制できる可能性が示唆された。しかしながら、実験施設の使用状況により模擬宇宙環境への暴露日数が少なかったことや、被験者数が少ない等の課題が残る結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で対抗措置として用いられている人工重力負荷+運動負荷装置は、申請者が所属している施設以外の他施設に設置されており、運用の際にはその施設の責任者や共同研究者が帯同することが条件となっていることから、長期の実験スケジュールを組むことや、模擬宇宙環境暴露(-6°ヘッドダウンベッドレスト)を行う施設を長期間使用することが困難である。よって、模擬宇宙環境への暴露日数や被験者数が少ない等の課題が残る結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のテーマである「長期宇宙滞在に向けた体系的なカウンターメジャーの確立」を遂行するためには、長期間(20日間)の地上での模擬宇宙環境暴露実験を行うことが必要である。そのためにも、今後は人工重力負荷+運動負荷装置が設置されている施設の研究者や看護スタッフなどにも協力を仰ぎ、夏季休暇や春季休暇等を利用するなどして、できるだけ多くの被験者が長期間の模擬宇宙環境暴露実験を行えるように工夫する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまで使用してきた人工重力負荷+運動負荷装置を、ISS搭載予定の人工重力負荷+下肢エルゴメータ運動負荷装置と同様のディメンションに改造する必要性が生じたことから、実験予定が延期された。また、人工重力負荷+運動負荷装置の設置が、申請者の所属施設以外の他施設であることから、設置施設の責任者や研究者とのスケジュールの調整が合わなかったことによる。 本年度は、人工重力負荷+運動負荷装置が設置されている施設の研究者や看護スタッフなどにも協力を仰ぎ、夏季休暇や春季休暇等を利用するなどして、できるだけ多くの被験者が長期間の模擬宇宙環境暴露実験を行えるように工夫する。
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