2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタノイドによる虚血心筋保護の情報伝達系の解明
Project/Area Number |
23590294
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
結城 幸一 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80302420)
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Keywords | 心筋梗塞 / プロスタノイド |
Research Abstract |
プロスタノイドは、プロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)より成る生理活性脂質であり、多種類のその受容体が心臓に発現している。しかし、心疾患の病態形成におけるプロスタノイドの役割には不明な点が多い。本研究の目的は、プロスタノイドがどのような作用機序によって虚血心筋保護作用を発揮しているのか解明することにある。今年度は、プロスタノイドと交感神経系とのクロストークを解析するために、ランゲンドルフ灌流心に対し、虚血-再灌流負荷を加え、再灌流前および再灌流開始から5分後までの灌流液を回収し、灌流液中に放出されるノルエピネフリン量についてHPLCを用いて測定した。野生型マウスおよびEP3欠損マウスのいずれの心臓においても虚血にする前の灌流液におけるノルエピネフリン放出量は検出限界以下であった。これに対し、野生型マウス心灌流液において再灌流開始後1分間のノルエピネフリン放出量は、著明に増大し、その後減少していった。一方、EP3欠損マウス心灌流液においては、再灌流開始後1分間のノルエピネフリン放出量が野生型マウスの約3倍と有意に高い値を示した。一方、冠血管の弛緩収縮の変化を表す灌流液量については、再灌流後に虚血前の2~3倍に増加したが、両群間で有意な差は認められず、冠血管の弛緩にPGE2-EP3系は関与していなかった。この結果は、PGE2-EP3系による虚血心筋保護作用の一部として、虚血時に心臓組織内で内因性に産生されたPGE2が、EP3受容体を介して神経終末からの過剰なノルエピネフリン放出を抑制し,心機能障害の抑制に関与していることを示している。
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