2012 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネテック制御機構を標的とする敗血症治療法の探究
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23590298
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
服部 裕一 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (50156361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 宏毅 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30332894)
山本 誠士 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10456361)
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Keywords | 敗血症 / 転写因子 / アポトーシス / エピジェネティックス / レスベラトロール / 脱アセチル化酵素 / SIRT1 / 急性肺傷害 |
Research Abstract |
敗血症の病態形成にエピジェネティックスの異常が重要な役割を果たしているかを,脱アセチル化酵素(HDAC)阻害というエピジェネティックな調節を介した敗血症治療効果を検討した。本年度は,広域スペクトルなHDAC阻害薬であるCG200745の治療効果をみた。8-12週齢の雄性BALB-Cマウスに盲腸結紮穿孔(cecum ligation and puncture: CLP)を行い,敗血症を生じさせた。HDAC1,HDAC2,HDAC3のタンパクレベルはCLP後の肺組織において低下することが認められ,さらにCLP誘発性敗血症において,肺組織でのヒストンH3およびH4アセチル化レベルは増加していた。CLP後の血中サイトカイン,TNF-α,IL-1β,MCP-1の上昇およびCLP肺組織によるTNF-α,IL-1β,MCP-1のmRNA発現増加は,CG200745によって抑制されなかった。さらに,組織学的に観察された肺炎症像も,肺での好中球の発現を示すGr-1抗体で免疫染色像の増加も,CG200745によって変わらなかった。一方,TUNELアッセイにより,CLP誘発性敗血症により肺組織および脾組織においてアポトーシスが有意に増加しており,それはCG200745投与により阻止された。同様な結果は,クラスI HDAC阻害薬であるバルプロ酸を用いたときにも得られた。以上の結果から,HDAC阻害薬は,敗血症において炎症は抑えないが,アポトーシスを抑えるユニークな治療効果を有する。このことは敗血症の炎症とアポトーシスはそれぞれ互いの存在によって影響されないことを示唆する。HDAC阻害薬の効果から,ヒストンアセチル化の不均衡は敗血症性アポトーシスに関与する遺伝子の発現あるいは抑止に寄与していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
韓国の企業から提供された新規HDAC阻害薬であるCG200745の敗血症モデルに対する効果に加えて,クラスI HDAC阻害薬であるバルプロ酸の効果も検討を終え,これら成果をまとめて,国際英文雑誌に投稿することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)レスベラトロールの治療効果が,SIRT1を実際に介しているか,SIRT1 specific activatorであるSRT1720でも同様の効果が得られるか,SIRT1阻害薬sirtinolがレスベラトロールの治療効果を相殺するか検討する。 (2)レスベラトロールの抗炎症作用は,NF-kB活性化抑制作用であることは,CLP敗血症マウス肺組織において一昨年度に明らかにしたが,in vitro系でLPS刺激をした際のNF-kB活性に対してもみられるか,またNF-kB p65 acetylationに対してどのように働いているか,SRT1720とも比較しながら,セルラインマクロファージRAW264.7を用いて検討していく。 (3) セルラインマクロファージRAW264.7において,レスベラトロール,SIRT1720が,SIRTの核移行,SIRT活性にどのような効果を与えるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)