2013 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネテック制御機構を標的とする敗血症治療法の探究
Project/Area Number |
23590298
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
服部 裕一 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (50156361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 宏毅 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30332894)
山本 誠士 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10456361)
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Keywords | エピジェネティクス / 脱アセチル化酵素 / 敗血症 / 急性肺傷害 / 炎症性サイトカイン / アポトーシス |
Research Abstract |
敗血症性ショックおよび多臓器不全に対する堅固な治療法の突破口を見出すことが,現在救命救急領域で求められているニーズである。そこで,敗血症の病態生理の形成にエピジェネテックスの異常が重要な役割を果たしていると想定し,エピジェネテックス要因として注目されているヒストンタンパクのアセチル化の制御異常に着目し,広域スペクトルな脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬であるCG200745を用い,敗血症性ショックならびに多臓器不全に対する有用性を評価し,その分子作用機構を明らかにすることで,HDAC阻害というエピジェネテックな調節を介した敗血症治療が新しい方向性を生み出していけるか検証した。盲腸結紮穿孔(cecum ligation and puncture: CLP)敗血症マウスにおいて,HDAC1,HDAC2,HDAC3のタンパクレベルはCLP後の肺組織において低下することが認められ,さらに肺組織でのヒストンH3およびH4アセチル化レベルは増加していた。CLP後の炎症性サイトカイン上昇は,CG200745によって抑制されず,肺炎症像も変わらなかった。一方,TUNELアッセイにより,CLP誘発性敗血症による肺および脾組織におけるアポトーシス増加はCG200745投与により阻止された。同様な結果は,クラスI HDAC阻害薬であるバルプロ酸を用いたときにも得られた。以上の結果から,HDAC阻害薬は,敗血症において炎症は抑えないが,アポトーシスを抑えるユニークな治療効果を有する。HDAC阻害薬の効果から,ヒストンアセチル化の不均衡は敗血症性アポトーシスに関与する遺伝子の発現あるいは抑止に寄与していると考えられる。
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Research Products
(2 results)