2013 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素による乳癌幹細胞の増殖制御と創薬への応用
Project/Area Number |
23590322
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
諫田 泰成 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (70510387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 誠一 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (10270505)
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Keywords | 癌幹細胞 / エストロゲン / NO / cGMP / PKG / 増殖 |
Research Abstract |
近年、乳癌をはじめとした種々の癌において、増殖能が低く薬剤に対して抵抗性を示す癌幹細胞の存在が示唆され、癌幹細胞によって癌の再発・転移がおこると考えられる。しかながら、癌幹細胞を標的とした治療法は未だ実現していない。がんの根治をめざすためには、癌幹細胞における標的分子を明らかにし、医薬品の開発につなげていく必要がある。 我々は昨年度までに、乳癌幹細胞の新たな増殖制御機構としてNOシグナルを明らかにしてきた。特に、NO/cGMPの下流で作用するシグナルとして、cGMP依存性プロテインキナーゼ(PKG)の関与を見いだしている。そこで、本年度は、PKGの基質の探索を行った。 まず、既存のPKGの基質として知られている30種ほどの分子の中から、乳癌幹細胞に発現している分子をqPCRにより検討を行い、候補因子を10種類に絞ることができた。次に、各分子のsiRNAを作成し、エストロゲン刺激による癌幹細胞の増殖を検討した。その結果、癌幹細胞の増殖に関与する新たな制御因子として、分子Xを同定した。さらに、分子Xの過剰発現により乳癌幹細胞の増殖が誘導されることも確認した。さらに、因子Xの下流で活性化される液性因子を解析し、オート/パラクラインの機構で増殖を誘導することも示した。 以上の結果から、エストロゲン刺激による乳癌幹細胞の増殖は、NO/cGMP/PKG/Xを介することが強く示唆された。因子Xは新たな乳癌治療薬の標的になる可能性が考えられる。
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