2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590329
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
矢澤 隆志 福井大学, 医学部, 助教 (00334813)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | セルトリ細胞 / ステロイドホルモン / SOX9 |
Research Abstract |
精巣のセルトリ細胞は、ステロイド産生細胞と同じ発生起源を有し、ステロイドホルモン産生に必要不可欠な転写因子・SF-1/Ad4BPを発現するにも関わらずステロイドホルモンを産生しない。間葉系幹細胞にSF-1を導入することによりステロイドホルモン産生細胞へと分化させることはできるが、セルトリ細胞に分化させることはなかった。そこで、本研究ではセルトリ細胞とステロイドホルモン産生細胞の形質の違いを担う転写因子の探索を行った。いくつかの候補遺伝子のうち、セルトリ細胞特異的に発現する転写因子・SOX9は、セルトリ細胞のマーカー遺伝子の転写活性をSF-1と共に上昇させるのに対し、SF-1が誘導するステロイドホルモン産生酵素遺伝子の転写活性を抑制することが分かった。そこで、SOX9の異所的発現によりステロイドホルモン産生が抑制されるか否かを、副腎由来のステロイドホルモン産生細胞を使って確かめた。SOX9の発現は、ステロイドホルモン産生酵素の発現を著しく低下させ、プロジェステロン産生はbasalで50%、cAMP刺激下では20%まで低下した。これらの結果から、セルトリ細胞におけるステロイドホルモン産生機能の抑制には、SOX9が重要な役割を果たすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、セルトリ細胞とステロイドホルモン産生細胞の形質の違いを担う転写因子の探索を行い、候補遺伝子を複数見いだした。この中から、SOX9が、SF-1の機能を抑制し、セルトリ細胞の機能に重要な役割を果たすことを証明した。これは、研究計画の大きな目標のうちの一つを達成していることから、研究は比較的、順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、セルトリ細胞の機能に重要であることが示されたSOX9をSF-1と共に間葉系幹細胞に導入し、セルトリ細胞様に分化誘導するかどうかを検証する。これらの導入により、ステロイドホルモンを産生せず、AMH等のセルトリ細胞のマーカーが発現する細胞に分化するかをELISAやRT-PCRにより確かめる。また、昨年度に引き続きセルトリ細胞の分化に重要な因子を、さらに探索と機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、細胞培養と遺伝子クローニングに必要な試薬と器具に用いる。また、細胞培養を行う技官に対する人件費と謝金が必要となる。さらに、得られた成果発表を行うための学会参加費・旅費に使用する予定である。
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Research Products
(26 results)