2011 Fiscal Year Research-status Report
線虫をモデルとしたパーキンソン原因遺伝子LRRK2の周辺因子の解析
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23590331
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久本 直毅 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80283456)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Cエレガンス / LRRK2 |
Research Abstract |
本研究課題では、線虫をモデル動物として、パーキンソン病の原因遺伝子LRRK2の線虫ホモログLRK-1の上流下流あるいは周辺で機能する因子を同定・解析することにより、種を越えて保存されたLRRK2シグナル伝達経路を明らかにすることを目的とする。本年度は、LRK-1の上流で機能することがこれまでの予備的実験により示されているBAG-2について、その変異体で見られるシナプス小胞局在異常の表現型がユビキチンープロテオソーム系に依存しているかどうかについて検討した。その結果、bag-2変異体で見られるシナプス小胞局在異常は、プロテオソーム阻害剤であるMG132によって抑圧されなかった。さらに、プロテオソームの構成因子であるrpn-9の変異によっても抑圧されなかった。これらのことから、bag-2変異体でみられるシナプス小胞の局在異常は、ユビキチンープロテオソーム系による分解に依存して起こるわけではないことが示唆された。一方、これまでの実験により、lrk-1やbag-2変異体と同様のシナプス小胞の局在異常の表現型を示す新規線虫変異体を複数単離していた。そのうち、今回はkm77について解析を行った。まず、km77で見られる局在異常について遺伝学的に解析したところ、その表現型はlrk-1変異体やbag-2変異体と同様にUNC-101に依存していた。さらに、km77の原因遺伝子の特定をマッピングおよびゲノムシーケンシングにより試みたところ、km77変異が1番染色体の狭い領域に存在しており、その範囲内にある3つの遺伝子のうちのどれかというところまで絞り込むことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BAG-2の機能について、ユビキチンープロテオソーム系に依存しないという、今後の研究方向を考える上で非常に意義深い結果を得ることができた。また、km77について、その原因遺伝子を3つまで絞り込むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
LRK-1およびBAG-2については、今後BAG-2がどのようにLRK-1を制御しているのか、生化学的な解析を試みる。さらに、km77の原因遺伝子を同定し、その機能について解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に消耗品の購入や旅費に充てる予定。
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Research Products
(4 results)