2012 Fiscal Year Research-status Report
線虫をモデルとしたパーキンソン原因遺伝子LRRK2の周辺因子の解析
Project/Area Number |
23590331
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久本 直毅 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80283456)
|
Keywords | C.エレガンス / LRK-1 |
Research Abstract |
本研究課題では、線虫をモデル動物として、パーキンソン病の原因遺伝子LRRK2の線虫ホモログLRK-1の上流下流あるいは周辺で機能する因子を同定・解析することにより、種を越えて保存されたLRRK2シグナル伝達経路を明らかにすることを目的とする。本年度は、lrk-1変異体においてゴルジ体タンパク質の局在が加齢により異常になることを見出した。若い成虫では、ゴルジ体タンパク質の局在は野生型とlrk-1変異体ではどちらも正常であり、シナプス領域に蓄積することはない。しかし、成虫5日目移行の線虫では、野生型ではその局在に異常がないのに対し、lrk-1変異体ではほとんどの個体において局在異常が見られた。この結果は、LRK-1がゴルジ体タンパク質の正常な局在に必要であり、その機能欠損は加齢に伴う局在異常の増大を誘導することを示唆している。さらに、lrk-1変異体と類似したシナプス小胞タンパク質の局在異常の表現型を示す変異体について新たに遺伝子を同定したところ、キネシン結合タンパク質JIP3の線虫ホモログunc-16の新しい変異であることが判明した。これまで、lrk-1変異体で見られるシナプス小胞タンパク質の局在異常は、クラスリンのアダプタータンパク質UNC-101に依存しているのに対し、unc-16変異体で見られる局在異常はUNC-101に依存しないとされてきた。しかし、今回単離された新しいunc-16(km75)変異体では、シナプス小胞タンパク質の局在異常はlrk-1変異体と同様にUNC-101に依存していた。ちなみにこのunc-16変異は、これまで用いられていたN端側の欠損変異ではなく、C端が欠損するタイプの変異であったことから、おそらくUNC-16はそのN端領域を介した機能とは別に、C端領域を介してUNC-101依存的なシナプス小胞タンパク質の局在制御に関わると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
lrk-1と同様の表現型を示す変異体として、キネシン結合蛋白質であるunc-16を同定した。また、lrk-1についての新たな制御や機能についても見出した。昨年度に報告したBAG-2との関係についても研究をまとめつつあり、論文に向けて計画を遂行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
LRK-1のBAG-2による制御については、データをまとめて論文にする。更に、lrk-1変異体と同様の表現型を示すunc-16をはじめとする各変異体の原因遺伝子とlrk-1との関係についても明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、線虫の培養、飼育、DNA操作および生化学的解析等に必要な消耗品の購入に使う予定である。また、培養細胞を用いた実験を行うために必要な培地、血清、DNAトランスフェクション試薬等の消耗品も購入する予定である。
|
Research Products
(4 results)