2013 Fiscal Year Annual Research Report
新たな視点(細胞内局在制御)からアプローチした細胞機能発現機構の探究
Project/Area Number |
23590332
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90238105)
|
Keywords | MRTF-A/B / myocardin / 細胞内局在制御 / CCG-1423 / 上皮間葉転換 / thymosinβ4 / Arp5 |
Research Abstract |
これまでの研究でmyocardin (Mycd) ファミリー転写補助因子(Mycd及びMTF-A/B)の核外移行の分子機構を明かにしてきた。MTF-A/Bの核集積はガン細胞の運動能・増殖能亢進または組織繊維化を誘起する上皮間葉転換を惹起することが明らかになっている。 低分子化合物CCG-1423は外因性刺激に応答したMRTF-Aの核移行を阻害し、上皮間葉転換を阻害することが知られているが、その作用機序は不明であった。最終年度の研究でCCG-1423が直接MRTF-A/Bの核移行シグナル(NLS)に結合し、importin α/β1を介したMRTF-A/Bの核移行を阻害することを明らかにした。さらに、MRTF-A/BのNLSはG-actin結合ドメインであるRPEL motifsの極近傍に存在するため、CCG-1423とNLSとの結合がG-actin量が多い場合には阻害されることが判明した (PLOS ONE 2014, 9, e89016. doi:10.1371)。この知見は上皮間葉転換阻害剤の開発に新たな視点をもたらすと想定される。 さらに、Mycdファミリーの細胞内局在に関して、以下の新たな制御機構を明らかにした。1)アクチン隔離タンパク質であるthymosinβ4はG-actinによるMRTF-Aの核移行阻害を抑制し、MRTF-Aを介した転写を促進する (Biochemi. Biophys. Res. Commun. 2013, 437:331-335)。2)MycdのRPEL motifsの機能を初めて明らかにした。MycdのRPEL motifsはMRTF-A/Bのそれと異なりG-actinとの親和性が弱くG-actinの結合によるNLSの遮蔽が起こらず恒常的に核局在する。Actinrelated protein 5 (Arp5)がG-actinに替わってMycdのRPEL motifsに結合し、Mycdを介した転写を抑制することを明らかにした。Arp5の発現は分化型平滑筋細胞では低く、脱分化平滑筋では発現亢進をおこすため平滑筋細胞の形質転換制御に関わると考えられる(J. Cell Biol. 2014, 204: 683-696)。
|
-
-
[Journal Article] RPEL proteins are the molecular targets for CCG-1423, an inhibitor of Rho signaling.2014
Author(s)
Hayashi, K., Watanabe, B., Nakagawa, Y., Minami, S., and Morita, T.
-
Journal Title
PLOS ONE
Volume: 9
Pages: e89016
DOI
Peer Reviewed
-
-
-