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2012 Fiscal Year Research-status Report

Ras-Raf結合阻害活性を有する抗がん剤の創製

Research Project

Project/Area Number 23590336
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

島 扶美  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60335445)

Keywordsインシリコ / 創薬 / Ras癌遺伝子 / シグナル伝達 / がん / 低分子量G蛋白質
Research Abstract

背景となる研究により申請者らは、がん遺伝子産物RasとそのエフェクターRafキナーゼとの直接結合を阻害する低分子化合物(2種類の母核構造A群、B群に分類)を獲得している。これらの化合物については腫瘍増殖抑制作用を求めるものの、作用機序については、精製蛋白質を用いた生化学試験によりRas-Raf結合阻害作用が確認されているのみであり、細胞内における同阻害活性ならびに下流のシグナル伝達系への作用の詳細については未解明であった。本研究では、化合物による細胞内Ras-Raf結合阻害活性を確認するとともにRaf以外のRasの標的分子RalGDS,ならびにPI3Kへのシグナル伝達についても化合物による阻害作用が確認された。また、大腸がん細胞株SW480以外のがん細胞株として、膵臓がん細胞株Panc1を用いた担がんモデル動物での腫瘍増殖抑制試験では、化合物による一定の腫瘍増殖抑制効果が確認された。大腸がん細胞SW620を用いた転移がんモデルでは、A群、B群ともに、市販薬sorafenibには認められない転移抑制作用が確認された。またNOESY-NMRにより、A群、B群に属する複数の化合物について、Rasとの複合体の立体構造決定に成功した。さらに、X線結晶解析を通じて、GTP結合型H-Rasならびに2種類の活性型変異体H-RasG12V, H-RasQ61Lの新規立体構造の決定に成功した。これら新規構造には、薬剤が結合可能な新規ポケット構造の存在が確認されたため、今後、コンピュータシミュレーションによる新規Ras-Raf結合阻害物質のスクリーニングに応用可能と考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初予定していた、1)種々のがん細胞株を用いた担がんモデル動物システムでの化合物の薬効評価につては、膵臓がん細胞株Panc-1を用いたモデルシステム構築に成功し、一定の腫瘍増殖抑制効果は確認されたたが、現状では個体数がまだ少なく有意差検定にまでは至っていない。2)化合物とRasとの複合体の結晶化ならびにX線結晶解析は成功しなかったが、複数の化合物について今後の構造展開に有用なNOESY-NMRによる複合体の立体構造情報獲得に成功した。3)新規化合物のスクリーニングに必須の新規ポケット構造決定に成功した。これらの結果により、上記の達成度区分とした。

Strategy for Future Research Activity

将来的に化合物の適応がん腫の拡大を図るために、H24年度に引き続き、1)複数のヒトがん細胞株を用いた担がんモデル動物システムを構築し、化合物の薬効評価を行う。2)化合物の新規活性であるがん転移抑制作用のメカニズムについても解析を継続する。3)Rasと複数の化合物との複合体の立体構造情報に基づいて、活性・毒性改善のための理論計算科学を駆使した構造展開を実施する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1)前年度達成できなかった種々のがん細胞株を用いた担がんモデル動物による薬効評価システムの構築と化合物の薬効評価:活性型Rasを有する大腸がん細胞株DLD-1, 膀胱がん細胞株EJ-1, 前立がん細胞株PC-3を改良した培養条件下で培養し、ヌードマウスの側腹部に移植して腫瘍の成長を待つ。腫瘍サイズが50 mm3以上になったところで80-240 mg/kgの用量で化合物を3週間投与し、非投与群との比較で腫瘍増殖抑制効果を評価する。
2)化合物のがん転移抑制の評価:化合物存在下で創傷治癒アッセイ(スクラッチ法、ボイデンチャンバー法)を行うとともに、細胞運動・接着に関与する分子の免疫組織染色を行う。化合物を1週間前投与したヌードマウスに、活性型Rasを有しなおかつ転移活性が高いことが知られている大腸がん細胞株SW620を尾静注し、その後8週間化合物の連続投与を実施する。試験終了後、肺への腫瘍塊の出現の有無ならびに出現した腫瘍塊の個数を計測し、その結果を非投与群ならびに市販薬(sorafenib)投与群と比較することで、化合物のがん転移抑制作用を評価する。
3)Rasと化合物との複合体のNMR構造情報を利用したヒット化合物の構造展開:前年度決定した複合体のNMR立体構造情報に基づいて新規誘導体をデザインし、統合計算システムMOEを利用して、Rasとの結合エネルギー計算を行う。複数の新規誘導体について同様の計算・順位付けを行ったうえで、順位の高い化合物から順番に神戸天然物化学(株)にて有機化学合成し、神戸大においてRas機能阻害の活性評価を行う。得られた構造活性情報については新規誘導体デザインにフィードバックする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Crystal structures of the state 1 conformations of the GTP-bound H-Ras protein and its oncogenic G12V and Q61L mutants2012

    • Author(s)
      Muraoka et al.
    • Journal Title

      FEBS Lett.

      Volume: Vol. 586 Pages: 5715-5718

    • DOI

      PMID:22584058

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] In silico discovery of novel Ras inhibitors that display anti-tumor activity by blocking the Ras-effector interaction2013

    • Author(s)
      Fumi Shima
    • Organizer
      Workshop on Innovation and Pioneering Technology 2012
    • Place of Presentation
      Intergraded Research Center of Kobe University
    • Year and Date
      20130219-20130219
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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