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2013 Fiscal Year Research-status Report

スフィンゴ脂質による酸化ストレス制御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23590340
Research InstitutionKumamoto Health Science University

Principal Investigator

矢野 正人  熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (60315299)

Keywordsスフィンゴミエリン合成酵素 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / ミトコンドリアストレス応答 / ABCB10 / TMEM65
Research Abstract

本年度の研究においては、まず、フィンゴミエリン合成酵素1(SMS1)のノックアウト(SMS1-KO)マウスが脂肪肝になりにくい原因の解明を試みた。昨年度までに、SMS1-KOマウスの肝臓でリポタンパク質リパーゼ(LPL)の活性が低下していることを示す結果が得られていたが、本年度の研究により、新たに、脂肪酸のトランスポーターであるCD36のmRNA発現量が低下していることを示唆する結果が得られた。これらの結果から、SMS1-KOマウスの肝臓では、リポタンパク質中に含まれるトリグリセリドからの脂肪酸の生成段階、および、脂肪酸の細胞内への取り込み段階の両方に異常が生じている可能性が示された。しかし、これらの異常と酸化ストレスとの関連性を明確に示す結果は得られなかった。また、昨年度までに、SMS1-KOマウスでは、酸化ストレスの亢進に伴い、ミトコンドリアストレス応答も亢進し、既知のミトコンドリアストレス応答因子だけでなく、哺乳類のミトコンドリアストレス応答経路の候補因子ABCB10や機能未知因子TMEM65の発現量も増加していることがわかっていた。そこで、本年度は、ABCB10やTMEM65の過剰発現系およびノックダウン系を用いて、それらのタンパク質の細胞レベルでの機能解析を行った。その結果、ABCB10の発現量を低下させると、細胞の増殖能が顕著に低下することがわかった。また、TMEM65がミトコンドリア内膜の膜タンパク質であることや、TMEM65のアミノ酸配列中のアミノ末端側にミトコンドリア移行シグナル配列が含まれており、TMEM65がミトコンドリア内膜に輸送されると、そのシグナル配列が切除されることなどがわかった。さらに、TMEM65がミトコンドリアにおける酸素消費を制御している可能性も示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

SMS1-KOマウスが太りにくく脂肪肝にもなりにくい原因について追加解析を行い、新たに、CD36(細胞膜上の脂肪酸のトランスポーター)のmRNA発現量がSMS1-KOマウスの肝臓で低下していることを示唆する結果を得た。しかし、CD36の発現量をタンパク質レベルで確認するまでには至っておらず、SMS1の欠失により起こる酸化ストレスとCD36の発現量の低下との因果関係については明確にできなかった。このため、この解析に関する自己評価は「やや遅れている。」とした。一方で、SMS1-KOマウスにおける酸化ストレスを伴うミトコンドリア機能不全に応答して起こるミトコンドリアストレス応答に関して、昨年度に引き続き関連因子であるABCB10およびTMEM65の解析を行った。その結果、哺乳類のミトコンドリアストレス応答経路の候補因子であるABCB10が細胞の増殖に必須の因子である可能性が示された。また、機能だけでなく細胞内局在も不明であったTMEM65に関しては、まず、その基本的性状を調べた。その結果、TMEM65がミトコンドリア内膜に局在する膜タンパク質であることを明らかにした。さらに、TMEM65のアミノ末端側にはミトコンドリアへの輸送シグナルが存在することや、TMEM65がミトコンドリアに輸送された後にそのシグナル配列が切除されることを明らかにした。また、これらのTMEM65に関する研究結果をまとめ、査読付き論文としてPeerJに投稿したところ、3月26日付けでアクセプトされた。このように、SMS1-KOマウスの研究から派生したABCB10やTMEM65の研究に関しては、大きな進展があった。このため、これらの解析に関する自己評価は「当初の計画以上に進展している。」とした。以上の自己評価を総合的に判断し、全体としての研究目的達成度の区分は「おおむね順調に進展している。」とした。

Strategy for Future Research Activity

本来、本研究は平成25年度で終了する予定であったが、TMEM65がミトコンドリアにおける酸素消費を制御している可能性が新たに示唆されたため、本研究を平成26年度まで繰り越すことにした。なお、本研究は上記の可能性を再検討した段階で終了する予定である。今後は、新たに採択された平成26~28年度の基盤研究(C)の研究課題「哺乳類のミトコンドリアストレス伝達経路の解明」に基づき、これまでのSMS1-KOマウスの解析で得られた知見を参考にしつつ、ABCB10やTMEM65の機能解析を進めて行く予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

スフィンゴミエリン合成酵素1(SMS1)の欠損により、ミトコンドリアストレス応答が誘導されることがわかった。さらに、ABCB10やTMEM65がこれに関与する因子である可能性が示された。実際に、これらの機能解析を進めたところ、酸素消費亢進作用など、当初予想しえなかった新たな知見が得られた。このため、研究の方向性を若干修正したため、論文発表を含めた補助事業の年度内での完了が困難な状況となった。
補助事業を完了するためには、少なくともTMEM65の機能に関する若干の追加実験を行う必要があった。平成26年度に繰り越された未使用額は、追加実験用の試薬や物品の購入費用として使用される予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Increased oxidative stress impairs adipose tissue function in sphingomyelin synthase 1 null mice2013

    • Author(s)
      Masato Yano, Tadashi Yamamoto, Naotaka Nishimura, Tomomi Gotoh, Ken Watanabe, Kazutaka Ikeda, Yohei Garan, Ryo Taguchi, Koichi Node, Toshiro Okazaki, Yuichi Oike
    • Journal Title

      PLOS ONE

      Volume: 8 Pages: 1-12

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0061380

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2015-05-28  

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