2012 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎発症におけるマクロファージ活性化の意義の解明
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23590360
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
永井 義夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90402718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 善彦 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40281084)
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Keywords | NASH |
Research Abstract |
肥満・メタボリックシンドロームの病態に、脂肪組織へのマクロファージの浸潤が関与することが明らかとなり、代謝疾患における慢性炎症の意義がクローズアップされている。本研究では、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis;NASH)および肝インスリン抵抗性発症におけるマクロファージ活性化の意義およびそのメカニズムを明らかにする。最近の研究により、血中の遊離脂肪酸が代謝産物として肝細胞内で中性脂肪合成の基質となるのみでなく、4型Toll-like受容体(TLR4)などの膜型受容体を介してシグナルを伝達することが明らかとなってきた。TLR4は栄養過多に起因する「代謝異常である脂肪肝」と、それに加わる「免疫異常を伴うNASH」とを結び付ける接点となる可能性がある。本研究では、TLR4の天然変異モデルマウスであるC3H/HeJを用いて、NASH発症におけるマクロファージ活性化の意義およびそのメカニズムを明らかにする。また、肝臓における炎症の惹起による肝インスリン抵抗性への影響も併せて検討する。 今年度は、前年度に確立したin vitroのNASHモデルを用いて、TLR4の野生型(C3H/HeN)と変異型(C3H/HeJ)のマウスについて、初代培養肝細胞とチオグリコレート誘導腹腔マクロファージの共培養を行った。肝細胞とマクロファージをそれぞれ野生型と変異型で2x2の組み合わせで共培養を行い、インスリン刺激に対するAktのリン酸化を検討した。 結果、野生型の肝細胞に変異型のマクロファージを共培養しただけで、インスリン刺激に対するAktのリン酸化が抑制された。この効果はLPS、TNFαによるマクロファージの活性化と無関係であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度はin vitroのNASHモデルの確立に成功した。しかし初代培養肝細胞、腹腔マクロファージの単離はともに生体からの採取であり、かつ継代できないため、毎回の採取を要する。インスリン刺激によるAktリン酸化の最適条件の検討に時間を要したこと、また同時に進行する予定であった高脂肪食負荷マウスによるインスリン抵抗性の検討に遅れをきたしているため、上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
概要で示した結果の再現性について、野生型/変異型初代培養肝細胞と野生型/変異型腹腔マクロファージを共培養の実験系で繰り返して証明していく。また、現時点では当初の予想と異なる結果であるため、そのメカニズムについても明らかにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後は引き続き、初代培養肝細胞および、腹腔マクロファージの採取、および得られたサンプルからのmRNA発現、タンパク発現の検討を行っていく予定である。また、培養細胞だけでなく、動物実験を繰り返し行う予定である。
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