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2013 Fiscal Year Research-status Report

慢性炎症病態への小胞体ストレス経路の時空間的関与機構の解析

Research Project

Project/Area Number 23590365
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

後藤 知己  熊本大学, 教育学部, 教授 (20264286)

Keywords小胞体ストレス / ゴルジ体 / ミトコンドリア / 活性酸素 / アポトーシス / 小胞体
Research Abstract

これまでの研究から小胞体ーゴルジ体において合成され、細胞膜に輸送されるスフィンゴミエリンの合成酵素を欠損させ、 小胞体ーゴルジ系におけるスフィンゴミエリンを減少させ、セラミドを増加させた条件にすると、その影響はミトコンドリアにおよび、ATP産生量の減少、活性酸素産生の増加がおこることを既に明らかにしている。ただ、今のところ、これが細胞外に添加した場合、ミトコンドリアに障害を与えアポトーシス誘導をもたらすセラミドが細胞内小器官間の膜の移動を介してミトコンドリア膜に影響を与えたためなのか、小胞体膜成分の変化により誘導された一種の小胞体ストレス応答の影響がミトコンドリアに及んだためなのかは明らかではないため、各細胞内小器官のストレス応答について検討を進めている。
また、高脂肪食負荷による肝臓における小胞体―ゴルジ体―ミトコンドリア間のストレス応答連関について脂質代謝への影響の観点から解析を進めた。肝細胞ならびに脂肪細胞に中性脂肪が蓄積した条件を検討したところ、脂肪酸取り込みに関与する分子の発現が誘導されるとともに、ミトコンドリア増殖に関与するとされる遺伝子の誘導も明らかであった。しかし、個体レベルの酸素消費量は低下し、ミトコンドリアの呼吸機能は低下しているものと判断された。また、ミトコンドリアに由来すると推定される活性酸素の産生が増加し細胞障害に働くと思われたが、その過程には酸化ストレスを介した小胞体ストレス応答の関与が示唆されたため、なお解析中である。小胞体―ゴルジ体の機能に関連して、これらオルガネラが産生の場となる脂質類への影響を解析しているが、未だ結論を出すには至っていない。とくにミトコンドリア機能への影響が報告されているセラミド関連分子の変動と、その際のミトコンドリアへの影響について検討中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

細胞内小器官はそれぞれの機能を分担し、細胞内のホメオスタシス維持に働いている。それぞれの細胞内小器官は、各々の機能を維持するため、独自のストレス応答系を発達させていることが明らかにされて来ているが、さらに最近、各細胞内小器官、とくに小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリアの間でストレス応答における複雑な連携が行われていることが明らかになってきている。これまでに我々は小胞体ストレスによって誘導される、細胞全体にわたるストレス応答が、Bcl2ファミリー分子などを介して、ミトコンドリアに伝達され、そこからさらにサイトゾルにアポトーシスシグナル等が伝達されることを明らかにしている。しかし、逆に他のオルガネラストレスを端緒とする細胞内ストレス応答に小胞体がどのように関与し、細胞全体のストレス応答に導くのかは不明の点が多い。最近ではこれまで知られていた小胞体とゴルジ体間の、膜や、そこに存在する膜上あるいは膜内の分子の相互移動だけではなく、小胞体とミトコンドリアの膜成分の間にも相互の移動があることが報告されて来ている。そのため、小胞体のストレス応答機構について明らかにするためには、ゴルジ体やミトコンドリアとの関係を直接の分子移動や接触によるものを含めて明らかにする必要がある、そこで、逆にミトコンドリアストレス環境下における小胞体、ゴルジ体の役割を明らかにしようと考え、ミトコンドリアストレスに関与すると推定される分子の解析を開始したが、発現抑制法の開発等実験条件の検討に時間がかかっているため。

Strategy for Future Research Activity

ミトコンドリアストレスに関与することが推定される分子の発現抑制や過剰発現条件下に、さらに活性酸素や小胞体ストレス負荷をかけ、小胞体ーゴルジ体ーミトコンドリアのストレス反応系の応答を解析し、各細胞内小器官のストレス応答連関機構を明らかにする。とくにこれまで小胞体ストレスを契機としたアポトーシス誘導機構におけるミトコンドリアの関与機構を中心的に解析して来たので、ミトコンドリアへのストレス誘導からアポトーシスに至る経路での、小胞体ストレス関連因子群の役割について解析を進める。これまで、細胞レベルでの小胞体ストレス応答系の解析にとくにとりくんできたので、その経験を生かして、まずは、培養細胞において関連因子の過剰発現や、ノックダウンを行い、解析を進めていきたい。
また、スフィンゴミエリン合成酵素の欠損によるセラミドの増加、スフィンゴミエリンの減少が小胞体ーゴルジ体でおこっているにもかかわらず、ミトコンドリア電子伝達系の障害、活性酸素産生の増加、ミトコンドリア増殖系分子群の誘導につながり、これが小胞体ストレス系の誘導にもつながることが明らかにできているので、これまで直接のミトコンドリア障害を引き起こし細胞死を誘導すると考えられて来たセラミドが、どのような機序で実際は働いているのかを小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリアのストレス応答経路のセラミド投与に対する反応をそれぞれ解析することにより明らかにしたい。これにより、ストレス応答における各細胞内小器官の連携機構を愛機らかにできると期待される。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本研究の中で小胞体ストレス応答におけるミトコンドリアの関与機構について検討を行ってきた。最近、新規のミトコンドリア内膜分子が、細胞内ストレス応答に関与することが明らかになりつつある。これまで実験系の検討や、ノックダウン条件の検討を行っていたが、小胞体ストレス関連分子と、これらミトコンドリア分子の連関を明らかにする必要が生じ、当初研究計画の遅れに伴い、次年度使用額が生じた。
次年度使用額は、実際の解析のための実験経費と、成果発表経費に充てることとしたい。細胞培養および細胞生化学実験の消耗品購入、マウス飼育関係費、学会出張1回分の経費、論文作製経費に使用する計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Increased oxidative stress impairs adipose tissue function in sphingomyeline synthase I null mice.2013

    • Author(s)
      M. Yano, T. Yamamoto, N. Nishimuras, T. Gotoh, K. Watanabe, K. Ikeda, Y. Garan, R. Taguchi, K. Node, T. Okazaki, Y. Oike.
    • Journal Title

      PLoS One.

      Volume: 12 Pages: e61380

    • DOI

      10.1371

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2015-05-28  

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