2013 Fiscal Year Research-status Report
Rap2ノックアウトマウスの表現型解析:病態との関連と分子基盤の解明にむけて
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23590366
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
苅谷 研一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40263371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 一郎 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 教授 (70426568)
吉見 直己 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30166996)
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Keywords | Rap2 / ノックアウトマウス / 表現型 |
Research Abstract |
Rasファミリー低分子量GTP結合蛋白質Rap2のシグナル機能は不明であったが、私共は最初の例としてRap2がJNKの上流に位置するSte20グループMAP4K(NIK、TNIK、MINK)を活性化することを報告した(Rap2-MAP4K系)。その後、canonical/non-canonical Wntシグナル経路への関与やphospholipase C epsilonの活性化も知られるようになったが、Rap2の生体での役割や病態との関連についてはノックアウトマウスを用いた報告が未だ無い。そこで世界に先駆け独自にRap2のA、B、Cの3種のアイソフォーム全部につきコンディショナルノックアウトマウスを作成して解析を進めている。Rap2-MAP4K系関連分子、特にTNIKはDISC1(disrupted in schizophrenia 1)遺伝子産物との結合(共同研究にて報告済)と臨床研究から精神疾患との関係が確定的であり、行動異常は第一の解析項目であったが、実際、Rap2ノックアウトマウスでは複数の行動異常が複数種のノックアウトマウスで見出された。第二の解析項目であった生殖関連でも、膣開口不全に起因する子宮膣留水症、雄雌内生殖器の形態異常、不妊等が重複して複数種のノックアウトマウスに出現した。第三の解析項目であった免疫系ではヘルパーT細胞の分化異常がメモリー型細胞に見られることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認知機能についてはノックアウトマウスと野生型同腹マウスで大差ないことが判明したが、ノックアウトマウスにおいて複数の個体間相互作用異常や情動行動異常を見出している。情動行動異常は飼育中の行動からも予測されていたが、集団行動解析装置の新たな応用法により定量的に確認された。さらに、Rap2のみならずTNIKのコンディショナルノックアウトマウスも作成したので、行動異常の異同についてTNIKとの関係において解析できる段階まで進展している。生殖関連では複数のアイソフォームの相補的・協調的作用が推測される知見を得た。免疫ではヘルパーT細胞の分化異常がナイーブ細胞でなくメモリー型細胞に限定されることを見出した。また、私共はRap2のリサイクリング小胞における機能も報告していたが、それを生体において支持する予備的知見も得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
認知機能についてはノックアウトマウスと野生型同腹マウスで大差ないことが判明したが、ノックアウトマウスにおいて複数の個体間相互作用異常や情動行動異常を見出している。情動行動異常は飼育中の行動からも予測されていたが、集団行動解析装置の新たな応用法により定量的に確認された。さらに、Rap2のみならずTNIKのコンディショナルノックアウトマウスも作成したので、行動異常の異同についてTNIKとの関係において解析できる段階まで進展している。生殖関連では複数のアイソフォームの相補的・協調的作用が推測される知見を得た。免疫ではヘルパーT細胞の分化異常がナイーブ細胞でなくメモリー型細胞に限定されることを見出した。また、私共はRap2のリサイクリング小胞における機能も報告していたが、それを生体において支持する予備的知見も得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Rap2の3種のアイソフォームのうちの1種のアイソフォーム遺伝子のノックアウトマウスについて、雌の育児困難、雄性不妊傾向など交配や繁殖に予想外の時間を要する事態が明白になり、表現型解析に必要な個体数を得られなかった。そこで計画を変更して、表現型解析に先立って、まず個体数の確保を進めることとしたため、未使用額が生じた。 26年度は当該ノックアウトマウスについての表現型解析を中心に行うこととし、未使用額はその経費に充てるが、研究計画自体に大きな変更がある訳ではなく、研究遂行上の必要に応じ支出していく。
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