2012 Fiscal Year Research-status Report
GWASで得られた2型糖尿病感受性遺伝子のインスリン開口放出への関与
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23590369
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
今泉 美佳 杏林大学, 医学部, 准教授 (40201941)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌 / 開口放出 / GWAS / CDKAL1 |
Research Abstract |
CDKAL1は2型糖尿病感受性遺伝子として知られているが、CDKAL1リスクアレルは妊娠糖尿病とも関連があることが最近報告されている。しかしCDKAL1の機能欠損による妊娠糖尿病発症のメカニズムは明らかではない。妊娠期では母体は著しいインスリン抵抗性を示すようになり、これを代償するために膵β細胞からのインスリン分泌が著明に増大することが知られている。このインスリン分泌亢進が不十分な場合、血糖値が上昇し、妊娠糖尿病の原因となると考えられている。そこで本年度は、CDKAL1発現低下と妊娠糖尿病との関連を明らかにするために、まず野生型マウスを用いて妊娠期インスリン分泌亢進機構を調べ、次いで、CDKAL1ノックアウトマウスを用いて、CDKAL1発現低下時の妊娠期インスリン分泌亢進への影響を検討した。野生型マウスの膵灌流実験では、妊娠マウスではグルコース応答性インスリン分泌が非妊娠マウスに比べて約3倍増加していた。膵ランゲルハンス氏島の単離実験では、妊娠期では非妊娠期に比べてβ細胞容積が増大しており、またグルコース刺激応答性インスリン分泌能(% release)も増大していた。すなわち、妊娠期グルコース応答性インスリン分泌亢進はβ細胞量増大とβ細胞インスリン分泌能増大の2つの要因によることがわかった。一方、妊娠CDKAL1ノックアウトマウス膵灌流実験では野生型マウス妊娠期に観察されるグルコース応答性インスリン分泌の増大が見られなかった。現在、妊娠CDKAL1ノックアウトマウスを用いて膵β細胞量およびグルコース刺激応答性インスリン分泌能を詳細に検討している。来年度にはCDKAL1発現低下による妊娠期インスリン分泌不全のメカニズムを明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は体外受精による繁殖も行うことでノックアウトマウスの繁殖を順調に進めることができ、おおむね順調に計画が進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
CDKAL1遺伝子がインスリン分泌障害を介して2型糖尿病リスクだけでなく、妊娠糖尿病リスクとも関連があることが報告されている。来年度はなぜこの遺伝子変異が妊娠糖尿病と関連するのか、妊娠CDKAL1ノックアウトマウスを用いてインスリン分泌を詳細に検討し、妊娠糖尿病発症の機序を明らかにする計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究推進のため、生化学、遺伝子工学、免疫組織化学実験のための薬品、実験動物、培養用プラスチック製品など主に消耗品費に研究費を使用予定である。また、最終年度の成果発表のため、旅費を使用予定である。
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Research Products
(11 results)