2011 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴ糖脂質による癌性形質の増強に関わる分子群の生細胞膜上での時空間的解析
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23590371
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
古川 圭子 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (50260732)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / 糖鎖合成酵素遺伝子 / 癌 / 脂質ラフト / シグナル伝達 |
Research Abstract |
H23年度は次の実績が得られた。1)糖脂質糖鎖の違いによる細胞膜脂質ラフトの構造と機能の異同を1分子観察により解析するために、各種の糖脂質糖鎖合成酵素遺伝子を導入し、糖鎖が異なるモデル細胞を樹立した。具体的には、GD3発現ヒトメラノーマ細胞株SK-MEL-28の亜株でGD3非発現細胞株SK-MEL-28-N1(N1細胞)に、(1)GD3合成酵素、(2)GD3合成酵素+GM2/GD2合成酵素、(3)GM2/GD2合成酵素、及び(4)GM2/GD2合成酵素+GM1/GD1b/GA1合成酵素の各遺伝子を導入し、(1)GD3発現N1(GD3(+)N1)細胞、(2)GD2発現N1細胞、(3)GM2発現N1細胞、及び(4)GM1発現N1細胞を樹立した。これらの細胞を1分子観察による脂質ラフト解析の連携研究者(京大、鈴木)に提供した。2)質量分析(MS)による脂質ラフト組成の解析の為に、TLC-MSによる糖脂質分析法を確立した。即ち、既知の酸性または中性糖脂質をTLCで展開後、PVDF膜にblottingし、これらをLESA(Liquid Extraction Surface Analysis)法によりPVDF膜からスポット抽出し、MS装置にインフュージョンスプレイした。得られたデータを解析した結果、既知のものと一致し、この手法の有用性が実証された。今後、未知のサンプル解析に応用する。3)GD3(+)N1細胞について、細胞膜のGD3近傍の分子群をEMARS反応により解析した結果、Neogenin, Netrin, Integrin等の分子が同定された。私達は、GD3+細胞においてインテグリンからの接着シグナルによりAktの活性が増強することを報告してきた。また、Netrin非存在化ではDCC等の受容体はアポトーシスを誘導することが報告されている。従って、GD3はアポトーシスの抑制に重要であることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)1分子観察による脂質ラフトの解析に必要な細胞株、(1)GD3発現N1細胞、(2)GD2発現N1細胞、(3)GM2発現N1細胞、及び(4)GM1発現N1細胞を樹立し、共同研究者に提供できた。2)脂質ラフト組成の質量分析(MS)解析のために、LESA(Liquid Extraction Surface Analysis)を利用したTLC-MSによる糖脂質分析法を確立した。3)GD3(+)N1細胞について、細胞膜のGD3近傍の分子群をEMARS反応により解析した結果、Neogenin, Netrin, Integrin等の分子が同定された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究成果をもとに、1)TLC-MSによる脂質ラフト組成の質量分析(MS)を進める。2)EMARS反応により同定された分子の中で、Neogenin, Netrin, およびIntegrinとGD3との相互作用について解析する。3)糖脂質糖鎖の違いによる細胞膜上での分子動態の異同について、1分子観察により解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究を遂行するために研究費は主に物品費として使用する。研究の進行状況に応じて、実験補助のために人件費として20~50万円を支出する可能性がある。
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Research Products
(13 results)