2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規p63-MYC経路の異常を介した上皮がん悪性転換機構の解明
Project/Area Number |
23590375
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
温川 恭至 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (80311372)
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Keywords | 癌 / 悪性化 / 幹細胞性 / 発現制御 / p63 |
Research Abstract |
p63の高発現は多くの扁平上皮がんで高頻度に認められている。一方p63 の発現低下とがんの進展・予後不良との相関が示唆されているが、その背景となる機構と発がんにおける意義は未解明である。本研究では“上皮細胞の幹細胞性の維持に必須なp63の役割”と“悪性転換におけるp63の機能消失”とのギャップを埋める分子基盤を明らかにし、上皮がん悪性化の鍵となる機構の解明を目的とした。特に正常上皮細胞の増殖能維持に重要なp63 標的遺伝子の発現が発がん過程においてp63非依存的に制御されることが、p63 消失を許容する成因となり悪性化に関わる可能性を検証した。 p63の発現低下が認められる上皮がん細胞株群においてc-MYCの高発現が観察されたことから、c-MYCがその標的遺伝子となる可能性を得た。正常角化細胞においてp63の過剰発現及びノックダウンを行ったところ、c-MYCの発現がp63によって正に制御されることを見出した。正常角化細胞やp63を高発現する複数の子宮頸がん細胞株においてp63をノックダウンした際に起こる壊滅的な細胞増殖抑制は、c-MYCの過剰発現によってほぼ完全に回避されることを明らかにした。またテトラサイクリン発現誘導系を用いてc-MYCを発現誘導した場合p63の発現低下が観察され、c-MYCとp63が相互に発現制御する関係にあることが示唆された。子宮頸がんのin vitro多段階発がんモデルにおいて変異型RASとc-MYCを段階的に導入することにより、三次元培養時の浸潤像とマウス皮下における腫瘍原性の亢進がc-MYCの発現量に依存し、且つp63の発現量と逆相関することを明らかにした。 以上の結果からc-MYCの高発現がp63の発現消失を引き起こし、悪性化を促すことを明らかにした。本研究により上皮がん細胞の悪性転換にp63-MYC 経路の異常が関与する可能性が示された。
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Research Products
(6 results)