2011 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチン結合ドメインを持つFANCD2会合因子の同定と機能解析
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23590380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石合 正道 京都大学, 放射線生物研究センター, 准教授 (90298844)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | DNA修復 / ユビキチン / タンパク質 / 癌 |
Research Abstract |
DNA損傷応答に関わるファンコニ貧血(FA)経路はDNA複製ストレスにより活性化され、その中心的役割を担うFANCD2のモノユビキチン化修飾が活性化の指標となる。しかし、モノユビキチン化FANCD2の役割は未だに十分解明されていない。我々はFANCD2結合分子探索を行い、ユビキチン結合ドメインをもつUFD1とUBR5を同定した。本研究ではこれらの遺伝子産物の機能解析を行う。この目的のため、平成23年度は以下の4つの課題を設定、検討した。1)UFD1-FANCD2結合の検討。酵母ツーハイブリッド(y2h)法を用い、トリUFD1とFANCD2の結合を検討し、UFD1はFANCD2のN末側約半分の断片に結合することを明らかにした。2)NPL4, p97がUFD1-FANCD2結合に与える影響の検討。NPL4およびp97とUFD1との複合体形成が知られている。トリ遺伝子の発現プラスミドを構築し、293T細胞に共発現させ、免疫沈降法によりUFD1とFANCD2の結合を確認した。続いて、NPL4, p97の単独、および共発現がFANCD2-UFD1結合に与える影響を検討したが、いずれもUFD1-FANCD2の結合に影響しなかった。3)UBR5とFA経路分子との結合の検討。FLAG-HAタグ付きのヒトFANCD2, FANCI, FANCL発現プラスミドを作製し、HeLa S3細胞で安定発現細胞を樹立した。タグに対する抗体で免疫沈降を行い抗UBR5抗体によるウエスタン法で検討した。UBR5はFANCI, FANCD2, FANCLいずれとも相互作用することが明らかとなった。4)ufd1, ubr5欠損DT40細胞の作製。トリufd1, ubr5のゲノムDNAをそれぞれクローニングし、ターゲティングコンストラクトを構築した。現在、DT40細胞に導入し、ノックアウト細胞を作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的はFANCD2の相互作用分子候補として同定したUFD1, UBR5の機能解析である。UFD1の相互作用は、当初の計画通りに進行しており、解析結果はUFD1がFANCD2と直接相互作用することを示唆している。また、ufd1欠損細胞の作製についても、研究実施計画通りに進展しており、ゲノムDNAのクローング、ターゲティングプラスミドの構築を終え、欠損細胞を作製中である。UBR5については、複数のFA経路分子との相互作用がみられた。研究実施計画書では、相互作用解析の詳細を明らかにする実験と欠損細胞の作製実験を記載しているが、後者の計画を優先し、ゲノムDNAのクローング、ターゲティングプラスミドの構築を終え、現在欠損細胞を作製中である。以上より、達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
UFD1については、FANCD2と直接の結合がy2h法、293T細胞の共発現系で確認された。当初の計画通り、この結合にFANCD2のモノユビキチン化が与える影響を検討する。一方、UFD1と複合体を形成するNPL4, p97については、293T細胞での共発現系ではUFD1-FANCD2の結合に与える影響はみられなかった。この系ではモノユビキチン化FANCD2の影響が検討できない等の問題点が残る。最終的にはDT40細胞によるufd1欠損の樹立と、その細胞を用いた解析が必要であるので、この欠損細胞の作製を優先する。また、ufd1が致死遺伝子でありDT40細胞でのノックアウトがうまくいかないことも想定されるため、ヒトUFD1のsiRNAによるノックダウン実験の可能性も念頭に置く。UBR5については現在の方策を継続することで目的は達成されると予想するが、上と同様の理由でヒトUBR5のノックダウン実験も念頭に置く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)UFD1-FANCD2結合の解析。平成23年度に引き続きトリUFD1-FANCD2結合についての解析を進める。トリUFD1、FANCD2のどちらについても結合領域を決定する。また、FANCD2のユビキチン化を反映したFANCD2とユビキチン(Ubi)の融合タンパク質(FANCD2-Ubi)やUbi発現プラスミドを用い、ユビキチン化による結合モードの変化の検討を試みる。2)UFD1-FANCD2結合に与えるNPL4, p97の影響。平成23年度に実施した293T細胞の共発現系を用いた解析では、NPL4, p97がUFD1-FANCD2結合に与える影響はないという結果が得られているが、この実験系では1)で設定したFANCD2のモノユビキチン化の影響が検討できない。この弱点を回避するため、平成23年度に作製した発現プラスミドを用い、4)で樹立されるufd1欠損細胞にNPL4, p97を発現させ、解析を行う。3)UBR5とFA経路分子との結合の検討。結合がどの領域に担われているのかを欠失変異体等を用いて検討する。4)ufd1, ubr5欠損DT40細胞の作製。平成23年度に作製したトリufd1, ubr5のターゲティングコンストラクトをDT40細胞に導入し、ノックアウト細胞を作製、解析する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] ATR-ATRIP kinase complex triggers activation of the Fanconi anemia DNA repair pathway2012
Author(s)
Shigechi T., Tomida J., Sato K., Kobayashi M., Eykelenboom J. K., Pessina F., Zhang Y., Uchida E., Ishiai M., Lowndes N. F., Yamamoto K., Kurumizaka H., Maehara Y. and Takata M.
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Journal Title
Cancer Res.
Volume: 72
Pages: 1149-1156
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Histone chaperon activity of FANCD2 plays a crucial role in DNA crosslink repair2012
Author(s)
Ishiai M., Sato K., Toda K., Furukoshi S., Osakabe A. Tachikawa H., Takizawa Y., Kagawa W., Kitao H., Dohmae N., Obuse C., Kimura H., Takata M. and Kurumizaka H.
Organizer
Abcam international meeting on "Maintenance of Genome Stability 2012"
Place of Presentation
ナッソー (バハマ)
Year and Date
2012.3.6
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