2012 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチン結合ドメインを持つFANCD2会合因子の同定と機能解析
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23590380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石合 正道 京都大学, 放射線生物研究センター, 准教授 (90298844)
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Keywords | DNA修復 / DNA損傷応答 / ユビキチン / ファンコニ貧血 / FANCD2 / UBR5 / UFD1 / 癌 |
Research Abstract |
DNA損傷応答、DNAクロスリンク(ICL)修復に関わるファンコニ貧血(FA)原因遺伝子群(FA経路)が活性化されると、その中心タンパク質FANCD2はモノユビキチン化されることが知られている。しかし、モノユビキチン化FANCD2の生理的役割は未だに十分に解明されていない。我々は、FANCD2の結合分子候補を探索し、ユビキチン結合ドメインを持つUBR5とUFD1を同定した。UBR5, UFD1の機能解析を目的に以下の検討を行った。 1)Ubr5欠損DT40細胞の樹立。DT40細胞を用いたUBR5遺伝子のノックアウト細胞の作製は順調であり、両アリルをターゲティングした細胞が得られ、予想通りRNAレベルでUBR5遺伝子の発現が抑制されていることを確認した。現在、樹立されたubr5欠損細胞の表現型を解析中である。 2)ヒトHeLa細胞を用いたUfd1ノックダウン細胞の解析。DT40を用いたufd1欠損細胞の作製はいまだ達成されていないため、方針を変更し、ヒト細胞を用い、siRNAによるノックダウン実験を行った。ヒトUFD1 siRNAをHeLaなどのヒト細胞に導入し、ノックダウン効率はウエスタン法により評価した。少なくとも2種類のsiRNAが有効であり、検討した複数の細胞で有効な結果が得られている。現在、HeLa細胞を用い、ufd1ノックダウン細胞の表現型解析を行っている。 3)酵母ツーハイブリッド(Y2H)法によるUFD1-FANCD2の相互作用解析。UFD1とFANCD2の結合がモノユビキチン化の影響を受けるかどうかを、UFD1とFANCD2とユビキチン(Ubi)の融合タンパク質、Ubi単独を対照とし検討した。UFD1はFANCD2本体に結合すると結論された。同様の解析により、NPL4はユビキチンに結合するが、p97単独ではFANCD2にもユビキチンにも結合しないことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DT40細胞を用いたUBR5遺伝子のターゲティングは順調に進行しており、UBR5遺伝子の両アリルのターゲティングを終了し、期待通りubr5欠損DT40細胞を樹立できた。現在、表現型解析を行っており、ほぼ計画通りに進行している。 UFD1については、DT40細胞を用いたubr5遺伝子のターゲティングはいまだに達成できていない。これは事前の想定の範囲内であるが、ヒトHeLa細胞を用いたsiRNA法によるノックダウン実験に切り替え、ufd1ノックダウン細胞の作製に成功した。UFD1-FANCD2の相互作用解析は予定通り進行している。 以上のことから、おおむね順調に進展していると、判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
UBR5については、ubr5欠損DT40細胞が樹立できたので、申請書の内容に従い、表現型解析を進める。 UFD1については、ヒト細胞を用いたsiRNA法によるノックダウン実験が可能となったので、主にHeLa細胞を用いて、ufd1ノックダウン細胞の表現型解析をおこなう。UFD1-FANCD2の相互作用については、当初の予想に反し、UFD1の相互作用分子やFANCD2のユビキチン化による顕著な影響が見られなかった。このことと関連して、最近、UFD1-NPL4と結合するp97のDNA修復への関与が報告されており、さらにごく最近、複数のグループより、p97に結合し、DNA修復に関与するDVC1が同定された。DVC1-p97のDNA修復機能にUFD1-NPL4が関与するかどうかは決着がついていない。UFD1の機能にDVC1が影響する可能性を考慮し、この観点からの解析を追加する。 加えて、我々は共焦点レーザー顕微鏡を用い、生細胞内の局所(細胞核内)にレーザー照射でDNA損傷を誘導し、レーザー照射部位における損傷応答反応を可視化するシステムを構築している。この系で細胞内でのUBR5, UFD1タンパク質の動態解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)Ubr5欠損細胞の表現型解析。樹立したubr5欠損DT40細胞を用い、その詳細な表現型を解析する。UBR5が想定通りユビキチン化FANCD2の相互作用分子として機能しているならば、ubr5欠損細胞はfancd2欠損細胞とよく似た表現型を示すことが予想される。このため、fancd2欠損細胞で特徴的なICL薬剤への感受性や相同組換え活性を中心に検討する。 2)UFD1ノックダウン細胞の表現型解析。主にヒトHeLa細胞を用い、siRNA法によるUFD1ノックダウン細胞の表現型解析を行う。また、UFD1と相互作用する可能性の高いNPL4, p97, DVC1についても同様に解析する。 3)生細胞イメージングを用いたUBR5、UFD1の動態解析。293T細胞でGFP-UBR5, GFP-UFD1の発現細胞を構築し、共焦点レーザー顕微鏡を用い、DNA損傷部位への集積等の動態解析を行う。この系でGFP-FANCD2の動態解析をすでに始めており、GFP-UBR5, GFP-UFD1と対比しながら解析を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Histone chaperone activity of Fanconi anemia proteins, FANCD2 and FANCI, is required for DNA crosslink repair.2012
Author(s)
Sato K, Ishiai M, Toda K, Furukoshi S, Osakabe A, Tachiwana H, Takizawa Y, Kagawa W, Kitao H, Dohmae N, Obuse C, Kimura H, Takata M, Kurumizaka H.
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Journal Title
EMBO J.
Volume: 31
Pages: 3524-36
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Histone chaperon activity of Fanconi anemia proteins, FANCD2 and FANCI, is required for DNA crosslink repair.2012
Author(s)
Ishiai M, Sato K, Toda K, Furukoshi S, Osakabe A, Tachiwana H, Takizawa Y, kagawa W, Kitao H, Dohmae N, Obuse C, Kimura H, Takata M and Kurumizaka H
Organizer
The 8th 3R symposium
Place of Presentation
淡路夢舞台国際会議場(兵庫県淡路市)
Year and Date
20121125-20121128
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