2011 Fiscal Year Research-status Report
多民族の強度近視患者を対象としたゲノムワイドな相関解析
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23590382
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
野村 直子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40537205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水木 信久 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90336579)
目黒 明 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60508802)
河越 龍方 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20564800)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流(中国、台湾、シンガポール) |
Research Abstract |
私達は、数年前より、日本人強度近視検体を対象として、Affymetrix社のHuman Mapping GeneChip 500K Array Set(500,568個のSNPs)を用いて、ゲノムワイドな相関解析(genome-wide association study: GWAS(一次スクリーニング))を行っている。平成22年度までに、患者500検体以上および健常者500検体以上について解析が終了しており、日本人強度近視患者と有意に相関するSNPを網羅的に同定している。平成23年度はGWAS(一次スクリーニング)で網羅的に同定したSNPについて、新たな日本人集団を対象にTaqManアッセイ法を用いて相関解析(Replication study: 再現性の検討(二次スクリーニング))を行った。さらに、二次スクリーニングにおいて有意な傾向を示したSNPについて、他人種(中国人および台湾人)の集団を対象にTaqManアッセイ法およびダイレクトシークエンシング法を用いて相関解析(三次スクリーニング)を行い、人種を超えて強度近視と真に相関する疾患感受性遺伝子の同定を試みた。その結果、人種を超えて強度近視と相関する可能性を示す複数の疾患感受性候補遺伝子を見出した。現在、同定した遺伝子領域を対象に網羅的にSNPを設定し、強度近視の発症に最も顕著に相関・作用するSNPの特定(fine mapping)を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は日本人集団のGWAS(一次スクリーニング)で得られた結果の追試(再現性の検討)を行うため、新たな日本人集団および海外人種集団(中国人および台湾人)の検体収集を行い、その後、収集された検体を用いてGWASの追試を行う計画であった。当初の計画の通り、新たな日本人集団および海外人種集団の検体収集が順調に行われ、それら検体を用いたGWASの追試を完了し、強度近視の疾患感受性候補遺伝子を複数同定することが出来た。以上より、本研究は実施計画の通り順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までに同定した強度近視の疾患感受性遺伝子領域の網羅的解析を行う。同定した遺伝子領域を対象にimputation解析を行うとともに、網羅的なSNP解析を行い、本病の発症に最も顕著に相関・作用するSNPの特定を行う。その後、確定した遺伝情報をもとに、疾患感受性遺伝子の機能解析を進める。本研究の成果は、遺伝子診断の基礎となり、健康診断などでの迅速な強度近視の遺伝子診断を可能とし、重度の視力低下に繋がる強度近視の早期予防が可能となり、本人に与える医学的価値は大変高いと考えられる。また、モノクローナル抗体、標的分子結合ペプチドや酵素阻害剤などの強度近視の発症・進行予防薬の開発も可能にし、その医学的意義は大変高いと言える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は平成23年度までに見出した遺伝子領域の詳細な解析を行うとともに、疾患感受性遺伝子の機能解析を行う予定である。したがって、遺伝子解析に用いる試薬・酵素類の費用、遺伝子発現系をみるためのRT-PCR費用などが本研究に必須のコストであり、研究費のほとんどは実験に使用する消耗品費に使われる。特に、網羅的なSNP解析で用いるTaqManアッセイ用の試薬・酵素類が研究費の主になると考えられる。
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