2012 Fiscal Year Research-status Report
多民族の強度近視患者を対象としたゲノムワイドな相関解析
Project/Area Number |
23590382
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
野村 直子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40537205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水木 信久 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90336579)
目黒 明 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60508802)
河越 龍方 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20564800)
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Keywords | 近視 / 遺伝子 |
Research Abstract |
強度近視の本邦の有病率は世界一の水準にある。このような眼疾患の予防、治療に当たっては、個人における継続的な生活習慣の改善および疾患の早期発見が極めて重要であり、疾患の予防および治療に先立った疾患の発症要因の十分な解明が必要とされる 私達は、強度近視の発症に関与する遺伝要因の同定を目指し、数年前より、Affymetrix社のHuman Mapping GeneChip 500K Array Set(500,568個のSNPs)を用いて、日本人集団(強度近視患者500例以上、健常者500例以上)を対象としたゲノムワイドな関連解析(genome-wide association study: GWAS)を行っている。本研究では、このGWASにより得られた結果を評価するため、新たな集団を用いて、再現性の検討を行う。 平成23年度までに、日本人のGWASで有意な相関を示したSNPを対象に、新たな日本人集団および海外人種集団(中国人および台湾人)用いて相関解析を行い、人種を超えて強度近視との相関を示唆する遺伝子領域を複数同定している。 平成24年度は、平成23年度までに同定された遺伝子領域を対象に、より詳細な遺伝子解析を実行した。すでに得られている疾患感受性候補領域の遺伝子変異の情報をもとにimputatuion analysisを行うとともに、疾患感受性候補領域に任意にSNPを設定したfine mappingを実行した。この結果、各遺伝子領域において、強度近視の発症に最も顕著に相関・作用する遺伝子変異が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、日本人強度近視患者を対象としたGWASで有意性を示したSNPについて、新たな集団を対象に相関解析(再現性の検討)を行い、強度近視と真に相関する遺伝要因を同定する。その後、さらに、同定された遺伝情報をもとに、遺伝子の機能解析を行い、強度近視の発症機序の解明を行う。 現在までに、GWASで得られた結果について、新たな日本人集団および海外人種集団を対象とした再現性の検討を完了しており、強度近視の疾患感受性候補遺伝子を見出している。さらに、各候補遺伝子領域を対象とした詳細な解析を実行し、各領域において、強度近視医の発症リスクに最も顕著に相関を示す遺伝子変異を見出している。 以上より、本研究は当初の研究計画のとおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに、人種を超えて強度近視に相関を示す遺伝子領域を複数同定している。この結果を確固たるものにするため、平成25年度は、新たな日本人集団および海外人収集団を用いて、さらなる再現性の検討を行う。対象とする集団およびサンプル数を増やして解析を実行することで、得られる結果の信頼性が格段に上昇することが期待される。 さらに、候補遺伝子を対象とした機能解析も実行する。得られた遺伝子変異の情報をもとに、病因アリルによる遺伝子発現量の相違の解析、in situ hybridizationによる疾患感受性遺伝子の局在の解析、およびタンパク質の立体構造解析などを行い、候補遺伝子が強度近視の発症にどうのように関与するかを検討する。 以上に示した実験法はいずれも研究代表者または研究分担者が得意とするものであり、今後の研究が滞りなく進展することが期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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