2011 Fiscal Year Research-status Report
カロリ病+先天性肝線維症の新規薬物療法の探索-動物モデルPCKラットを用いて
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23590392
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 保則 金沢大学, 医学系, 講師 (30324073)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人体病理学 / 肝臓 / 胆管細胞 / 肝線維嚢胞性疾患 |
Research Abstract |
カロリ病は肝内胆管の進行性の嚢状拡張をきたす疾患で,常染色体劣性多発嚢胞腎の肝胆管病変として,近年,多発性嚢胞腎の病態形成におけるAKT-mTORシグナリングの関与が注目されている.本年度は,カロリ病動物モデルとして確立されているpolycystic kidney(PCK)ラットを用い, mTOR阻害薬による胆管上皮細胞の増殖抑制効果を検討した.免疫染色でラット肝組織切片に対しp-AKT, p-mTORを検討した.また,PCKラットの培養胆管上皮細胞(biliary epithelial cell, BEC)にmTOR阻害薬(sirolimus [SL], everolimus [EL], PP242)を作用させ,細胞増殖活性,アポトーシス,オートファジーおよび嚢胞(spheroid)形成に及ぼすmTOR阻害薬の効果を検討した.免疫染色による検討の結果, PCKラットの胆管細胞でp-AKTとp-mTORの発現が正常ラットより亢進していた.SL, EL, PP242はいずれもBECの細胞増殖を抑制し,ウエスタンブロットでp-AKT, p-mTOR, p-P70S6Kの発現は抑制された.3次元培養でPP242はC-BECの嚢胞形成を抑制したが,SLとELに嚢胞形成の抑制効果はなかった.SL, EL, PP242はC-BECのアポトーシスを誘導し,PP242のみがオートファジーも誘導した.mTORにはmTORC1とmTORC2の2種類の複合体が存在し,SLとELはmTORC1阻害薬,PP242はmTORC1+C2阻害薬である.今回の検討結果から,mTORC1+C2の双方を阻害することがPCKラットの胆管拡張の抑制により有効と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カロリ病+先天性肝線維症の新規薬物療法の探索を目的として,その動物モデル(PCKラット)を用いてin vitroとin vivoでの検討を行うことを当初の予定とした.本年度は培養胆管細胞を用いて,AKT-mTORシグナリングを抑制することにより胆管細胞の増殖を抑制できることを示した.当初の予定はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はPCKラットの培養胆管細胞を用い,3種類のmTOR阻害薬(sirolimus [SL], everolimus [EL], PP242)による胆管細胞の細胞増殖抑制効果を検討した.今後はさらに別のmTOR阻害薬やAKT阻害薬を使用し,in vitroでより増殖抑制効果の高い薬物を見出したい.最終的に,in vitroで最も効果の高い薬物をPCKラットにin vivoで投与し,治療薬としての効果を検証したいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に細胞培養関連用品や薬物など消耗品の購入に使用する.特にPCKラットに薬物をin vivoで投与する場合,かなりの容量が必要なため,研究費に占める薬物の購入費の割合が増すことが予測される.
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Research Products
(2 results)