2013 Fiscal Year Annual Research Report
カロリ病+先天性肝線維症の新規薬物療法の探索-動物モデルPCKラットを用いて
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23590392
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 保則 金沢大学, 医学系, 講師 (30324073)
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Keywords | 人体病理学 / 肝臓 / 胆管細胞 / 肝線維嚢胞性疾患 |
Research Abstract |
カロリ病+先天性肝線維症(congenital hepatic fibrosis, CHF)の新規薬物療法を見出すことを目的とし、カロリ病+CHFの動物モデルとして確立されたpolycystic kidney(PCK)ラットを用いた検討を行なった.平成23~24年度は、カロリ病+CHFの病態形成におけるPI3K/Akt/mTOR細胞内シグナリングの関与に着目し、PCKラットから単離した培養胆管細胞に対する複数の細胞内シグナル阻害剤のin vitroでの効果を検討した.本年度はin vitroで最も有効な阻害効果を示したNVP-BEZ235(PI3K, mTORC1/2阻害剤)を用い、同阻害剤のin vivoでの投与効果を検討した.PCKラットにNVP-BEZ235(20 mg/kg)を4週間、腹腔内に連日投与した.その結果、PCKラットの肝内胆管拡張は有意に抑制され、肝線維化の程度も有意に軽減した.肝組織からホルマリン固定パラフィン包埋切片を作成しPI3K/Akt/mTOR細胞内シグナリングに関与する分子の発現を検討すると、胆管細胞におけるp-Akt, p-mTOR, p-S6の発現はNVP-BEZ235投与群で低下した.また、NVP-BEZ235は胆管細胞にオートファジーの誘導とアポトーシスの抑制効果を示し、これはin vitroでの成績と同様であった.有害事象としてNVP-BEZ235投与により体重減少を生じたことから、阻害剤の投与量(20 mg/kg/day)についてはさらに検討する必要があるが、本年度の検討結果からNVP-BEZ235はPCKラットの胆管拡張と肝線維化を軽減させる効果を有することが示された.
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Research Products
(3 results)