• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

軟部肉腫の発生起源と分化に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23590419
Research InstitutionFukuoka University

Principal Investigator

岩崎 宏  福岡大学, 医学部, 教授 (90101170)

Keywordssarcoma / liposarcoma / histogenesis / mesenchymal stem cell / soft tissue tumors
Research Abstract

(1) ヒト肉腫組織の病理学的検討:種々の肉腫について病理学的検索を行った。組織学的に高分化脂肪肉腫で粘液変性を示すものと粘液型脂肪肉腫で成熟脂肪細胞が出現するものとの鑑別が困難であるが、免疫組織化学的マーカーの発現パターンに差があり、脂肪肉腫はCDK4、MDM2が陽性のグループ(高分化脂肪肉腫と脱分化脂肪肉腫)と陰性のグループ(粘液型脂肪肉腫)に分けられた。また、脱分化脂肪肉腫ではしばしば平滑筋アクチンが陽性であり、一部の例はデスミンも陽性であった。これらの結果から、免疫組織学的マーカーの発現パターンを診断に応用できることが明らかとなった。
(2) 染色体・遺伝子分析:多くの腫瘍について、染色体・遺伝子分析を継続した。本研究では各腫瘍において、通常の染色体分析に加えてFISH法およびRT-PCR法を施行し、遺伝子検索の精度を向上させた。従来、組織学的に鑑別が困難であった高分化脂肪肉腫で粘液変性を示す腫瘍と粘液型脂肪肉腫で成熟脂肪細胞が出現するものは上記の遺伝子検索で識別が可能となり、前者ではt(12;16)とFUS-DDIT3が陰性であったが、後者では陽性であった。
(3) 肉腫発がん実験:GFP発現グリーンマウスから採取した骨髄細胞を,骨髄抑制したマウス(C57BL/6)に移植し,さらに背部皮下に3-メチルコラントレン(3-MC)を投与するすることにより、16~20週後に肉腫が発生した。約1/4のマウスで腫瘍細胞がGFPを発現したことから、肉腫の一部は骨髄由来の未分化間葉系幹細胞から発生すると思われるが、他方、GFP陰性の肉腫は局所の間葉系幹細胞の腫瘍化によって発生する可能性が考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

肉腫発がん実験については,当初の計画はほぼ達成されている。一部の肉腫の発生には骨髄由来間葉系幹細胞 (bone marrow-derived MSC)の関与が考えられたが,局所の間葉系細胞(resident MSC)が腫瘍化する経路も存在すると推測される。
脂肪肉腫については、脱分化型脂肪肉腫では複雑な異常とともに、余剰環状染色体ないし巨大マーカー染色体が認められ、後者は高分化脂肪肉腫と共通する異常であった。粘液型脂肪肉腫では染色体転座t(12;16)(q13;p11)とそれに基づく融合遺伝子FUS-DDIT3 が特徴的であるが、本研究では各腫瘍において、通常の染色体分析とFISH法およびRT-PCR法を施行し、遺伝子検索の精度を向上させた。組織学的に鑑別が困難であった高分化脂肪肉腫で粘液変性を示す腫瘍と粘液型脂肪肉腫で成熟脂肪細胞が出現するものは上記の遺伝子検索で識別が可能となり、前者ではt(12;16)(q13;p11)とFUS-DDIT3が陰性であったが、後者では陽性であった。さらに、粘液型脂肪肉腫で脂肪腫様の高分化成分を伴うものと、高分化脂肪肉腫の粘液変性との違いについては、免疫組織化学的プロファイルの相違に加えて、遺伝子異常が全く異なることから、両者は起源を異にすると考えられた。本研究では,従来不明であった肉腫の組織起源を明らかにする上で,有用なデータが得られた。

Strategy for Future Research Activity

本研究は平成25年度で完了する予定であったが、脂肪肉腫の分子遺伝学的検討において、粘液型脂肪肉腫の検索が不十分であったため、一部で計画を変更し、多数例の脂肪肉腫のパラフィン包埋材料についてRT-PCR法とともに、FISH法による遺伝子検索を追加する。また、免疫組織化学的分析についても、肉腫の起源をさらに明らかにするために,脂肪肉腫症例を中心にして、未分化幹細胞から成熟脂肪への分化を検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

脂肪肉腫の分子遺伝学的検討において、粘液型脂肪肉腫の検索が不十分であったため、計画を変更し、次年度に症例を追加して、検索の精度を上げる必要がある。
多数例の脂肪肉腫のパラフィン包埋材料についてRT-PCR法とともに、FISH法による遺伝子検索を追加する。また、
免疫組織化学的分析についても、肉腫の起源をさらに明らかにするために,脂肪肉腫症例を中心にして、未分化幹細胞から成熟脂肪への分化を検討する。
研究経費としては、組織標本作製,免疫組織化学的検索に必要な試薬や抗体を必要とする。細胞培養のためには培地等の試薬とウシ胎児血清を要する。
遺伝子分析にはRT-PCR, FISH,染色体分析用試薬を必要とする。またこれらの検索のためにガラス器具、プラスチック・チューブ、フィルター等の消耗品を要する.
経費は研究に必要な消耗品費に当てられており,積算根拠は妥当なものである。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results)

  • [Journal Article] Collagenous fibroma (desmoplastic fibroblastoma) with trisomy 8 as the sole cytogenetic abnormality.2013

    • Author(s)
      Nishio J, Iwasaki H, Yano S, Naito M.
    • Journal Title

      Anticancer Res

      Volume: 33 Pages: 3259-3262

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] FDG PET/CT findings of superficial angiomyxoma.2013

    • Author(s)
      Nishio J1, Iwasaki H, Aoki M, Nabeshima K, Naito M.
    • Journal Title

      Clin Nucl Med

      Volume: 39 Pages: 367-370

    • DOI

      10.1097/RLU.0b013e3182995e15.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Scapular osteochondrolipoma: Imaging features with pathological correlation2013

    • Author(s)
      Nishio J, Ideta S, Iwasaki H, Naito M
    • Journal Title

      Oncol Lett

      Volume: 6 Pages: 817–820

    • DOI

      10.3892/ol.2013.1455

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi