2012 Fiscal Year Research-status Report
動脈老化と動脈中膜変性疾患(大動脈解離、脳動脈瘤、脳動脈解離)のプロテオーム解析
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23590422
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
沢辺 元司 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (30196331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呂 彩子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50296555)
戸田 年総 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副所長 (80133635)
田中 博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60155158)
三浦 ゆり 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (00216574)
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Keywords | 循環器 / プロテオーム |
Research Abstract |
1.具体的内容 (1) 目的 本研究の目的は動脈中膜組織のプロテオーム解析により動脈老化、非症候群性動脈中膜変性症(大動脈解離など)のタンパク質、タンパク質修飾の病態を明らかにすることである。加齢性中膜変性硬化症、大動脈解離では何れも、動脈壁の脆弱性、先天的異常が指摘されているが、その本態に関してはよく分かっていない。本研究ではタンパク質やタンパク質修飾の増減を網羅的に検討するプロテオーム解析を用いて病態の解析を行う。 (2) 試料採取状況 平成23年度は試料の採取が中心であり、東京都監察医務院で平成24年3月までに25例の組織採取を終え、その後、文書による研究利用承諾書を16例で得ることが出来た。またセンターでは12症例の研究利用が可能となった。全例について大動脈中膜を用いてビーズ式破砕装置を用いて機械的に可溶化し尿素変性条件下でタンパク質抽出を終了している。 (3) プロテオーム解析 超高齢者2名(100, 96歳)、大動脈解離2例について、対照群8名を用いて2次元電気泳動によるスポットの定量解析後、発現の変動したスポットについてMALDI-TOF MS, MALDI-TOF MS/MSによる解析を行った。その結果、動脈老化においては低分子型、低等電点のビメンチンの増加が見られた。また大動脈解離症において、アクチン、ミオシン、トロポミオシン、S-100など、平滑筋収縮に関与するタンパク質スポットが変動していた。 2.意義と重要性 動脈老化は高齢者の高血圧、うっ血性心不全、大動脈瘤の原因として重要であり、動脈中膜変性症は、重要な致死性疾患である。まだ研究途上であるが、プロテオーム解析により様々な大動脈壁構成タンパク質が変動を検出することが出来た。本研究により、動脈老化の機序解明、動脈中膜変性症の病因の解明、予防の開発に繋がると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の計画では動脈老化研究のために若年齢、中高齢、高齢を各5-10例、大動脈解離症例を5-10例採取することになっている。平成23-24年度にかけて動脈老化に関しては若年者(平均26歳)、中年者(57歳)、高齢者(91歳)の各5症例の試料が、また動脈解離に関しては解離群6例、対照群6例の試料が全て揃った。 プロテオーム解析についても、上記「9.研究実績の概要」に示すように、動脈老化、動脈解離共に有意な解析結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度にあたり、これまでに得られた大動脈試料を用いて、プロテオーム解析を行う。タンパク質の修飾についても検討する。更に発現に有意差が認められたタンパク質についてはウエスタンブロット、免疫組織化学的検討により、結果を確認する。また変動のあったタンパク質については様々なシステムバイオロジー解析手法を用いて解析を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度の研究費はプロテオーム解析、学会発表、論文作成に用いる。
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