2011 Fiscal Year Research-status Report
軟部肉腫における転移関連バイオマーカーの同定と分子標的治療への応用
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23590434
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
齋藤 剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80439736)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 転移・浸潤 / 悪性転化 / バイオマーカー / 遺伝子変異 / 再発 |
Research Abstract |
骨巨細胞腫(GCTB)は良性腫瘍であるが、再発率が高く治療に難渋する腫瘍であることが知られている。また、経過中に2%程度が悪性転化することが報告されているが、その詳細なメカニズムは不明である。今回、GCTBにおけるp53遺伝子変異の悪性転化への関与の可能性を検討した。悪性転化例3例、他臓器転移例2例、通常型GCTB 25例の計30例を対象とし、ホルマリン固定パラフィン包埋検体からDNAを抽出し、p53遺伝子変異を検索した。また、最近再発の予後マーカーとして報告されており、p53の標的遺伝子でもあるglutathione peroxidase1(GPX-1)とCyclinD1, Ki-67の免疫染色も行い、蛋白発現と臨床像との関連を調べた。悪性転化例3例では、悪性転化と診断した病変ではp53遺伝子変異あるいはLOHが確認され免疫染色でもp53過剰発現を認めたが、良性と診断されていた病変では遺伝子変異や過剰発現は認めなかった。他臓器転移例2例にはp53の遺伝子変異・過剰発現は認めなかった。通常型GCTB 25例中5例に遺伝子変異を認めたが、免疫染色ではp53蛋白の過剰発現はみられなかった。GPX-1免疫染色では、悪性転化例3例および他臓器転移例2例では過剰発現を認めた。GCTB全体でもGPX-1の過剰発現は早期再発と有意な相関を認めた。また、p53過剰発現とGPX-1の過剰発現の間には正の相関を認めた。さらに、再発群では非再発群に比べMIB-1 LIが有意に高かったが、CyclinD1 LIには有意差はみられなかった。これらの結果から、蛋白過剰発現に結びつくp53遺伝子変異がGCTBの悪性転化に重要な役割を果たしており、この過程にp53によるGPX-1の転写制御による過剰発現が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順天堂大学医学部附属順天堂医院病理部に蓄積されている主に1995年度以降の骨軟部腫瘍症例の収集は終了し、これらからDNA, RNAの抽出は完了している。既にいくつかの癌関連遺伝子の蛋白発現を免疫染色で確認し、また遺伝子プロモーター領域のメチル化の状態の検索を行っている。現在、cDNA microarrayのデータと文献的に報告されている転移関連遺伝子をクロスリファレンスし、microRNA解析等の対象となる遺伝子群のピックアップを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
転移・再発関連遺伝子・蛋白質の候補となっている遺伝子に関して、そのプロモーター領域のメチル化の状態の検索・micro RNA発現レベルの検索等を行う。また、対象としている症例の予後情報の集積も合わせて行うことによって今回対象としている骨軟部腫瘍症例における予後解析も行い、その候補遺伝子の転移・再発関連遺伝子としての確からしさについて検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Mutation, promoterのmethylation解析を含むDNA解析, microRNA発現レベルの検索を含むRNA解析等に主に使用される予定である。また、転移・再発関連遺伝子の蛋白質レベルでの発現を検討するために、場合によってはオリジナル抗体の作成を含む免疫組織化学的検索も行う予定である。
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Research Products
(8 results)