2014 Fiscal Year Annual Research Report
体腔傷害における反応性中皮細胞の機能解析と病態診断および再生治療への応用
Project/Area Number |
23590436
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
本田 一穂 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (10256505)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 癌性腹膜炎 / 腹膜播種 / 腹水 / 中皮 / マクロファージ / 腹膜透析 / 腹膜硬化症 / フローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) フローサイトメトリー法によるヒト癌性腹水の解析:卵巣癌患者13名の腹水中の中皮細胞とマクロファージのpodoplanin (pod)(中皮のマーカー), CD14(マクロファージマーカー), CD44(ヒアルロン酸受容体), E-cadherin, EMA, ICAM-1 の発現率や発現強度を測定した。腹水細胞診は、癌陽性8例、疑い2例、癌陰性3例であった。中皮では癌細胞の有無による有意な変化を見いだせなかったが、マクロファージでは、癌陽性例は陰性例に比べ、pod, CD44, CD14の発現が上昇していた。また中皮ではE-cadherin, EMA, ICAM-1の発現を、マクロファージではICAM-1の発現を認めたが、癌の有無との間に一定の傾向を見いだせなかった。 (2) フローサイトメトリー法による腹膜透析(PD)排液の解析:PD患者(導入期3例、維持期6例)の排液では、維持期は導入期よりpod+の中皮分画が減少していた。中皮分画のpod発現強度は維持期で増加したが、CD44発現に有意な変化は見られなかった。また、CD14+のマクロファージ分画ではCD44の発現強度が維持期で増加したが、CD14やpod発現に有意な変化は見られなかった。 PodoplaninやCD44は細胞膜に共発現し、アクチンフィラメントなどの細胞内骨格の構造変化を誘導して、炎症細胞の遊走・接着や癌細胞の浸潤・播種などに関与していることが推察されている。今回の結果は、癌性腹水中のマクロファージでは癌細胞との相互作用により、PD排液中の中皮細胞やマクロファージではPDの影響によって、podoplanin, CD14, CD44などの細胞応答に関わる表面分子の発現が増強していることが明らかとなった。腹水のフローサイトメトリー法による解析は癌や炎症性疾患の診断や病態解明に役立つ可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)