2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト・マスト細胞に発現するNK細胞受容体KIR2DL4の解析
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23590437
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片岡 竜貴 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20343254)
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Keywords | マスト細胞 |
Research Abstract |
本年度は、「ヒトマスト細胞株LAD2のSCF・IgE刺激に対するKIR2DL4の役割の検討」がテーマであった。具体的には、LAD2に対してagonisticに作用することが既に示されている抗KIR2DL4抗体MAB2238をSCFやIgEと同時に添加し、SCF誘導性の増殖・遊走・IL6放出ないしはIgE誘導性の脱顆粒・IL13産生に対する影響を評価するものである。結果として、我々はこの抗KIR2DL4抗体MAB2238がこれらSCF・IgE刺激に対するLAD2の反応すべてを半減させることを明らかにすることが出来た。このことは、抗KIR2DL4抗体MAB2238がマスト細胞の関与するアレルギー疾患を制御しうることを示しており、臨床応用が期待されるものであった。前年度には、同抗体がLAD2のNK活性を増強させることを見出している。KIR2DL4は、一般的にTh2反応優位とされるアレルギー反応を抑制し、Th1反応に分類されるNK活性を促進するという結果は、免疫学的・血液学的学術的観点からも意義があると期待された。 なお、前年度に「ヒト病理組織内のマスト細胞におけるKIR2DL4の免疫組織学的発現」については検討の余地を残していたが、本年度検討を終えることが出来た。我々の検討の範囲では、すべてのマスト細胞はKIR2DL4を発現しており、その発現の強さも疾患ごとの差は有意ではないという結果であった。これは前年度のin vitroでの結果と一致していた。KIR2DL4は新規の汎マスト細胞マーカーである可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題「ヒトマスト細胞に発現するNK細胞受容体KIR2DL4の解析」は上記の通り「おおむね順調に進展している」と判断された。 前年度までの課題「ヒトマスト細胞におけるKIR2DL4の発現の検討」および「ヒトマスト細胞株LAD2のNK活性に対するKIR2DL4の役割の検討」も完遂しており、本年度の課題「ヒトマスト細胞株LAD2のSCF・IgE刺激に対するKIR2DL4の役割の検討」につても結果を得ている。 また、この実験に関連した成果として「PD-1 regulates the growth of human mastocytosis cells. Kataoka TR, et al. Allergol Int. 2013;62(1):99-104.」や「抑制性受容体によるヒトマスト細胞の制御 片岡 竜貴 など アレルギー 2012;61(6);805-812」などの成果発表もなされており、総合的に、本課題の進展は順調と判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の進展はここまで順調であり、平成25年度も同様に順調に予定された課題である「ヒトマスト細胞株LAD2におけるKIR2DL4刺激によるシグナル系の変化」を遂行し、本研究をまとめ上げ、英文学術誌に投稿したいと考えている。予定課題では、LAD2に対して抗KIR2DL4抗体MAB2238を添加し、ウエスタンブロッティング法で評価するものである。この実験法は習熟しており、かつ、機材も揃っており、完遂に支障はないと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)