2012 Fiscal Year Research-status Report
組織Q-FISH法による膵β細胞の同定と糖尿病におけるβ細胞のテロメア短縮の証明
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23590440
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Research Institution | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
Principal Investigator |
相田 順子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80425678)
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Keywords | テロメア / 糖尿病 / 膵 / β細胞 / α細胞 / Q-FISH法 / 蛍光抗体法 |
Research Abstract |
生活習慣病の1つである2型糖尿病では、β細胞がアポトーシスにより減少し、膵島機能を低下させている。テロメアは加齢と共に短縮し、癌や種々の老化に関連する疾患と深く関係していることから、β細胞の減少には、選択的にβ細胞の過度のテロメア短縮が起きていると予想した。 これを証明するために、平成24年度は23年度までの検体に加え、さらに目標症例数までの検体入手・収集、それに引き続き組織の検定を行ない、症例を選択し解析対象が50例以上となるようにした。検体は順次組織FISH法を施行し、膵組織の各構成細胞群別のテロメア長測定、および免疫蛍光法とQ-FISH法を重ねる方法によるα細胞とβ細胞のテロメア長測定を継続して行なった。膵α細胞、β細胞のテロメア長測定は、各構成細胞群別の検討よりも撮像、合計解析細胞数が少なくて済むため進行が早く、膵組織の各構成細胞群別のテロメア長測定よりも先に進めることとした。 当該年度終了時点で、症例の収集および組織学的検定の結果は対照群、糖尿病症例群でともに51例となった。膵組織の各構成細胞群別のテロメアは、対照群と糖尿病症例群ともに約45例ずつの解析を終了し、現時点で糖尿病症例群におけるテロメアの短縮傾向が見られた。一方、膵α細胞、β細胞のテロメア長測定については、当該年度終了時点で、51例全例の解析を終了し、糖尿病症例群では対照群に比較してβ細胞のテロメアに対し有意な短縮が認められたが、α細胞では有意差が見られない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画3年のうち2年を終了した時点で、テロメア長解析のために必要な目標症例の症例収集が終わり、約9割の症例において膵組織の各構成細胞群別テロメア長解析が終了していること。また、膵α細胞、β細胞のテロメア長については、当初の計画を変更し、膵α細胞とβ細胞の2つの免疫蛍光法を個別に標本を作製、解析を行なったにも関わらず、全症例の解析を終了できていることから、研究計画の3年以内には目標症例数の解析を完了し、論文作成まで行なうことが十分に可能と考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
膵組織の各構成細胞別の解析を継続して行なう。 α細胞およびβ細胞の解析を完了したことから、その解析結果について学会発表(日本病理学会、日本糖尿病学会)および英語論文発表を行なう予定である。 また、膵組織の各構成細胞別の解析は完了次第、順次学会発表および英文論文の作成に入る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
標本の作製に使用する試薬の購入はほぼ終了したため、水銀ランプおよび蛍光フィルターの定期的交換、また学会および論文発表時の旅費、英文校正費用を加算した。
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