2011 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍細胞におけるFGF受容体とインテグリンの新しいクロストークの理解
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23590446
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 誠司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (90467506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 成昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190402)
河口 直正 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70224748)
濱田 吉之輔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10362683)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | インテグリン / FGF / FGF受容体 / 血管新生 |
Research Abstract |
FGF1が直接インテグリンとFGF受容体に結合することが細胞の増殖や運動に必要であるが詳細は不明である。インテグリンに結合できなFGF1変異体(FGF1-R50E)を用いインテグリンとFGF受容体の関係、FGF1-R50Eの抗腫瘍性、血管新生阻害について解析を進めた。・インテグリン/増殖因子受容体のクロストーク。野生型FGF1とFGF1-R50Eを用いHUVEC細胞におけるMAPキナーゼ経路の活性化を解析した。継時的な解析からFGF1-R50EではERKの活性化を長時間維持できないことがわかった。またFGF1-R50Eは濃度の上昇に伴いERKを早く活性化させかつその持続時間が短くなることが分かった。これよりFGF1-R50Eによるドミナントネガティブな効果は、FGF1-R50Eに結合したFGF受容体は早くターンオーバーし不活化されてしまうと考えられる。インテグリンとFGFの結合がFGF受容体の活性に重要であることが示唆された。・FGF1-R50E の抗腫瘍性、血管新生阻害効果の解析。ヌードマウスに乳癌細胞株を接種し野生型FGF1あるいはFGF1-R50E を腹腔投与し一定期間後に摘出した。腫瘍の体積と腫瘍血管数を計測した結果、体積に有意な差はないものの腫瘍血管数はFGF1-R50Eの群で優位に少なかった。野生型FGF1あるいはFGF1-R50Eを含む細胞外基質成分をマウスに接種し血管新生数を測定するとFGF1-R50Eの群で優位に少なかった。In vitro においてFGF1-R50EはHUVEC細胞の管腔形成を促進せずまた野生型FGF1の効果を阻害した。Ex vivoの系であるラット動脈輪を用いた血管新生では同様にFGF1-R50Eは新生血管の形成を促進せずまた野生型FGF1の効果を阻害した。これよりインテグリンとFGFの結合が血管新生に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インテグリンとFGF受容体のクロストークに関するメカニズム解析においては条件検討などに時間がかかり遅れはあるものの、血管新生に関する解析では多面的なアプローチをとることができ進展がみられている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に照らし合わせると進展のみられるFGF変異体の抗腫瘍効果の解析に対し、クロストークの解析では遅れがみられるので、遅れている部分には可能な限り人的・時間的配分をし、個々の実験にも優先順位を付けるなど効率的に進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インテグリンとFGF受容体のクロストークに関する解析において遅れたことで発生した研究費が次年度に持ち越される。購入予定だったインテグリンシグナルおよびFGF受容体シグナルの下流に存在するタンパク質を検出するための特異抗体を持ち越した研究費で購入する予定。
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Research Products
(2 results)