2012 Fiscal Year Research-status Report
Meis1遺伝子の表皮正常およびがん幹細胞維持における役割
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23590454
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
若林 雄一 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ実験動物研究室, 室長 (40303119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 和弘 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ実験動物研究室, 研究員 (80584680)
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Keywords | アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
Meis1コンデイショナルノックアウトマウスとKeratin14-Creマウスとを交配して作製したマウスを用いて、2種類の化学発がん剤であるDMBA/TPAを投与して標準プロトコールに従い皮膚腫瘍を誘導した。その際にいくつかのポイントにおいてマウスにタモキシフェンの投与を行い、Creを誘導しMeis1を欠損させた。まずひとつめはDMBA投与を行う前、すなわち一切の発がん刺激を与える前にタモキシフェン投与を行った。ふたつめはDMBA処理を行い、さらにTPA処理を開始後10週間後にタモキシフェン投与を行った。TPA処理開始後10週間後とは良性腫瘍であるパピローマが発生し始めた直後である。するとこの両ポイントともに良性腫瘍の発生が著明に同程度に減少した。さらにこれらのマウスを長期間維持し、悪性腫瘍の発症への影響を観察した。するとDMBA投与前にタモキシフェン投与を行った場合はコントロールマウスに比べて若干、悪性腫瘍の発生率が低下する程度であったが、TPA処理開始後10週間後に投与した場合は悪性腫瘍の発生がほぼ完全に抑えられた。これらの結果はMeis1が皮膚腫瘍発生に必須であるということを示すのみならず、悪性化においても必須の分子であるということを示唆している。また、TPA処理開始後10週間後という良性腫瘍発症直後のタモキシフェン投与にもかかわらず腫瘍の悪性化がほぼ完全に抑えられたという結果はMeis1が悪性化に必須ということを示すに留まらず、良性腫瘍が発生した後のかなり早い段階で既に悪性化するのかしないのかがコントロールされているという事実を示し、DMBA/TPAを用いた多段階発がんモデルに対するひとつの疑問への答えを与えていると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記したように発がん過程におけるMeis1遺伝子の役割の解析が順調に進行しており、非常に明快な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
発がん過程におけるMeis1遺伝子の役割の解析はかなりの割合を終了しあとは、進行した悪性腫瘍に対してどのような効果を及ぼすのかを解析するのみとなっている。この実験は進行中でありマウスを数か月維持した後には結果が得られるものと思われる。時間のかかる発がん実験を研究期間の前半に行ったために表皮正常幹細胞におけるMeis1の役割の解析がまだ残されている。Meis1-GFPマウスやコンデイショナルノックアウトマウスを用いて幹細胞における役割の解析を重点的に最終年度に行いたいと計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
幹細胞マーカーを中心とした抗体類の購入、および移植実験を行うためのマウスの購入経費にかなりの割合をさくことを予定している。保存するマウス組織が膨大になってきた場合にはフリーザー等の購入を検討する。
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