2013 Fiscal Year Annual Research Report
Meis1遺伝子の表皮正常およびがん幹細胞維持における役割
Project/Area Number |
23590454
|
Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
若林 雄一 千葉県がんセンター(研究所), 実験動物研究室, 室長 (40303119)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 和弘 千葉県がんセンター(研究所), 実験動物研究室, 研究員 (80584680)
|
Keywords | Meis1 / 発がん / 幹細胞 |
Research Abstract |
Meis1はTALE (Three Amino-acid Loop Extension) ファミリーに属するホメオドメインを持つ転写因子である。Meis1は元々、白血病のがん遺伝子、もしくはがん遺伝子下流で働くsignal transducerとしての機能が知られてきたが、我々は上皮系腫瘍モデルの代表格である多段階皮膚化学発がんモデルを用い、このモデルにおけるMeis1の役割について検討した。Meis1遺伝子のコンデイショナルノックアウトマウスと皮膚特異的に活性型Creをタモキシフェンにより誘導可能にしたKeratin14(K14)-CreERマウスとを交配した後に、DMBA/TPAを用いた発がん刺激を与えた。その過程で発がん刺激開始前、開始後の2点においてマウスにタモキシフェンを投与し、Meis1を欠損させた。その結果、パピローマ発症は発がん刺激開始前、開始後も同程度に抑制されたが、扁平上皮がんへの悪性化は発がん刺激開始後のほうがより有意に抑制された。Meis1欠損は休止状態の正常表皮幹細胞を減少させ、正常表皮の形態形成を阻害することも我々の研究によりわかっている。しかしながら、発がん刺激開始後のMeis1欠損のほうが扁平上皮がんへの悪性化が有意に抑制されたという事実は、Meis1が腫瘍悪性化において特異的な機能を持ち、Meis1が有力ながん治療標的となり得ることを示唆している。また、Meis1タンパクが正常表皮では休止状態の幹細胞が存在する毛包のバルジ領域に主に局在するのに対して、パピローマではむしろ逆にがん幹細胞マーカーではなく分化細胞マーカーと共発現することから、正常表皮と腫瘍細胞では明らかに異なる機能をMeis1が持つものと考えられる。
|