2013 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞増殖因子による虚血疾患でのトール様受容体機能阻害を介した自然免疫制御機構
Project/Area Number |
23590458
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 信哉 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10219644)
|
Keywords | 肝細胞増殖因子 / HGF / c-Met / 虚血性疾患 / 自然免疫 / トール様受容体 / TLR4 / MHGB1 |
Research Abstract |
本年度は腎虚血再灌流傷害のマウスモデルに加え、胆管結紮により虚血性肝傷害を加えたマウスモデルについてもHMGB1に対するHGFの機能を解析した。 (1)いずれのモデルともに虚血領域を中心に炎症、アポトーシス、ネクローシスの所見が見られ、これに一致してHMGB1の核外移行と血中HMGB1レベルの上昇が認められた。HMGB1値のピーク時には受容体であるToll-like receptor-4 (TLR4) の発現上昇がマクロファージなどの炎症性浸潤細胞に観察された。これに一致してNF-kappaB活性上昇ならびに炎症性サイトカイン上昇が観察された。 (2)一方、リコンビナントHGFをこれらのマウスモデルに投与すると、アポトーシスやネクローシスといった組織破壊が抑制され、血中HMGB1上昇も回避された。その結果、TLR4下流イベント(NF-kappaBならびにサイトカイン産生)が抑制される事が判明した。 (3)培養マクロファージ系(raw264)細胞を用いて、HMGB1の炎症惹起効果に対するHGFの直接効果を解析した。その結果、HGFはあるシグナル伝達系の活性上昇に依存してNF-kappaB活性化を抑制する事を示唆する所見が得られつつ有る。 以上の事から、HGFは生体内では細胞死抑制を介してHMGB1の放出そのものを抑制する一方、試験管内ではHMGB1-TLR4の下流シグナルを遮断することにより虚血性疾患の病態を改善させている可能性が考えられる。以上について現在さらなる解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は腎傷害モデルで観察された現象がおおむね肝傷害モデルでも再現出来たことはHGFによる共通の臓器保護作用を示しうる点で意義深いと考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策: In vivoモデルとして肺虚血性疾患マウスを作成し、HMGB1に対するHGFの生体機能をさらに解析してゆく。In vitroモデルにおいてHMGB1によるNF-kappaB活性化に対するHGFの作用点についてTLR4下流シグナル伝達系を中心とした解析を加えてゆく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)実験試薬について解析結果に依存して購入する抗体などが変動するため。 (2)研究成果の論文投稿先変更に伴い、印刷代、別刷り代を温存する必要が生じたため。 抗体等の試薬に4割、論文投稿関連に6割を使用する予定である。
|
Research Products
(8 results)