2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590461
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡田 太 鳥取大学, 医学部, 教授 (00250423)
|
Keywords | 炎症細胞 / 浸出阻止 / 炎症発癌 / 化合物 |
Research Abstract |
本研究は,炎症発癌に対する予防あるいは治療のための新規化合物の探索を行うことを目的にしている.申請者がこれまでに集積してきた研究成果より,炎症発癌の起始は炎症細胞の局所浸出に端を発することから,この浸出過程を遮断する新規低分子化合物を新たに見出すために,培養スクリーニング系を確立した.その結果,400種超に及ぶ既知の各種シグナル等に対する低分子阻害化合物の中から,数種類の新規低分子化合物の選択を終えた.その中の代表候補化合物は,たとえば,ゼラチンスポンジの皮下移入による炎症細胞浸出アッセイ法や,空気嚢炎症法(Air-pouch models of inflammation)などのin vivoにおける炎症モデルにおいても,いずれも炎症細胞浸出を抑制した.さらに,候補化合物はマウス炎症発癌モデルの癌化も抑制した.生体内において実効性のある本候補化合物の炎症浸出遮断に関わる分子機構を解析するために,候補化合物の投与を行った炎症局所と,行わなかった炎症局所のそれぞれから組織を回収し,DNAマイクロアレイ解析を施行した.その結果,炎症性のケモカイン,サイトカインや接着分子等の複数の分子発現に相違を認めた.中でも,候補化合物は炎症反応シグナルとして中心的な作用を持つNF-κB発現と活性化およびNF-κB関連分子の発現と活性化を抑制することを見出した.調べた限りにおいては,当該候補化合物のNF-κB活性化抑制に関する報告はこれまでに無かったことから,新規の知見を見出したものと考えられる.今後,当該候補化合物のNF-κB活性化抑制機構の詳細を解析する予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画に則り,計画実験を遂行し概ね終了することができた.また,研究期間内には,得られた成果の再現性を確認することができた.加えて,本課題の国際雑誌等への投稿の際に必須となる機序解析のひとつとして,当初の実施計画には含まれていない普遍性(マウス・ヒトの種差を越えた現象)を追加解析し,相当の成果を得ることができた.本研究成果を総合的に評価し,かつ取り纏める際に極めて重要で決定的な成果を加えることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究実施計画が概ね計画通り進捗したことより,平成25年度には当初の研究実施計画に則り,in vitro/in silico構造機能解析に移行する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は概ね計画通りの執行を終え,残金958円は次年度へ繰り越して当該研究に継続して使用する.次年度研究費の使用計画は,当初の実施計画に従い行う予定である.
|
Research Products
(4 results)