2012 Fiscal Year Research-status Report
ガングリオシドーシスの中枢神経系における炎症のメカニズムの解明
Project/Area Number |
23590468
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山中 正二 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80264604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 章 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (20381585)
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Keywords | ライソゾーム病 |
Research Abstract |
ライソゾーム病の一つであるガングリオシドーシスは、中枢神経系に先天的に代謝できないGM2ガングリオシド(GM2)、アシアロGM2ガングリオシド(GA2)が分解されずにリソソーム内に蓄積し、炎症反応等の種々の障害が引き起こされ病態が進行すると考えられてきた。一方近年の研究で、この病態の進行は中枢神経系へのガングリオシドの蓄積以外の要因により炎症反応等が引き起こされる事が示唆されている。 我々はサンドホフ病マウスを用い、中枢神経系に進入した自己抗体や細胞外に放出された代謝できないガングリオシドが炎症反応を引き起こしていると推測し、これらを中心にガングリオシドーシスの炎症反応発症メカニズムの解明を試みた。 これまでに病態の発症が認められる14週齢SDマウスの中枢神経系に活性化マイクログリアの増殖を確認し、ケモカインMIP-1α、CXCL-13, サイトカイン TNF-α、IL-1β、TNFスーパーファミリーの一つBAFF等が高発現しているのを見出した。 我々は代謝されないGM2, GA2のいずれかがマイクログリアを刺激し、ケモカイン、サイトカインの発現を促していると推測し、これらの発現メカニズムを解明するため、SDマウスのマイクログリアを脳から分離し、in vitroの系においてGM2, GA2それぞれのガングリオシドを用い刺激実験を行った。その結果、GA2ではケモカイン、サイトカインの顕著な発現は確認されなかったが、GM2では、Toll様受容体4(TLR4)を介して刺激され、ケモカインMIP-1α、CXCL-13, サイトカイン TNF-α、IL-1βが産生されることを確認した。 これらのことから、SDマウスにおける炎症反応は、自己抗体による抗原抗体反応の他に代謝されないガングリオシドがTLR4を介して直接マイクログリアを刺激し、炎症反応を引き起こしている可能性があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はSDマウスから分離したマイクログリアを蓄積するGM2, GA2それぞれで刺激し、GM2がTLR4を介した経路でマイクログリアを活性化し、MIP-1α、CXCL-13, TNF-α、IL-1β等の産生を促すことを確認した。しかしながら予定していたGM2、GA2のいずれかにSDの中枢神経系でその発現が認められたTNFスーパーファミリーの一つBAFFの発現誘導性があるかの確認は出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は、平成24年度に行うことの出来なかった下記の研究を行い自己抗体産生機序と病態への影響の解明を進める。 1. シアル酸を持たないSDマウスの中枢神経系から精製したGA2にBAFFの発現誘導能介したシグナル伝達系を活性化する能力があるかを評価する。 2.SDマウスとFcrγ欠損SDマウスの中枢神経系に、直接BAFF中和抗体、若しくはBAFF依存性のシグナル分子をターゲットとしたインヒビターを投与して、糖脂質由来の炎症反応の関与を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はもとのマウスとCXCL-13マウスを用いてDKOマウスを作成し、分子レベルまでの解析を行う予定であったが、繁殖等に時間がかかり、病理学的解析、運動能、寿命の解析まで進捗となり、分子レベルまでの解析までは至らなかったため、研究費の残額が生じた。次年度は上記の推進方策にしたがって研究を進めるための試薬(細胞培養試薬、遺伝子発現解析試薬)や消耗品(ディスポ実験器具、実験動物用品等)の購入、マウス飼育費の使用を計画している。 また、研究成果発表のための学会参加費、論文校正費も予定している。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] 維持透析患者に対して術中血液濾過透析を施行した腹腔鏡下褐色細胞腫摘出術の1例.2012
Author(s)
大竹慎二, 涌井広道, 垣本みどり, 橋本達夫, 田村功一, 戸谷義幸, 槙山和秀, 坂田綾子, 蓼沼知之, 窪田吉信, 山中正二, 梅村敏.
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Journal Title
血圧
Volume: 19
Pages: 647 –651
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