2013 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱尿路上皮癌におけるDNA修復酵素hABHファミリーの分子病理学的解析
Project/Area Number |
23590471
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
島田 啓司 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90336850)
|
Keywords | ALKBH3 / urothelial carcinoma / reactive oxygen species / Tweak / Fn14 / VEGF |
Research Abstract |
ヒト尿路上皮癌細胞におけるDNA修復酵素ALKBH3の機能を解析し、その臨床病理学的意義を明らかにした。ヒト尿路上皮癌細胞株を用い、ALKBH3遺伝子をノックダウンするとNADPH oxidase(NOX)2発現および細胞内活性酸素種(ROS)が低下し、癌細胞の増殖が強く阻害された。また、ALKBH3ノックダウンにより、癌細胞におけるTNF-like weak inducer of apoptosis(Tweak)発現ならびに血管増殖因子VEGF発現が強く阻害された。一方、同所性移植モデルを用い、膀胱内で癌細胞ALKBH3を in vivoノックダウンすると、癌細胞におけるNOX2やTweak/VEGF発現の低下を招き、血管新生や癌浸潤、増殖(腫瘍体積)が抑制された。興味深いことに、ALKBH3は癌細胞だけでなく腫瘍血管内皮細胞におけるTweak受容体Fn14の発現を安定化させることも判明した。ヒト膀胱癌組織を用いた免疫組織化学的解析により、癌細胞におけるALKBH3、Tweak、Fn14の発現は病理組織学的悪性度と相関し、高悪性度膀胱癌では、血管内皮細胞におけるTweak/Fn14発現が有意に上昇することが分かった。以上から、ALKBH3はNOX-ROSならびにTweak/Fn14-VEGFシグナルにより尿路上皮癌細胞の進展に寄与すると考えられ、治療上の新しい標的分子となる可能性がある。
|