2011 Fiscal Year Research-status Report
microRNAー143/145低発現と癌、疾患発症の分子機構の解析
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23590483
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Research Institution | Gifu International Institute of Biotechnology |
Principal Investigator |
飯尾 明生 (財)岐阜県研究開発財団岐阜県国際バイオ研究所, 健康有用物質研究部, 研究員 (80344349)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | microRNA / 癌 / プロモーター / DDX6 / P-body |
Research Abstract |
本研究は、miR-143/145が多くの癌及び疾患で発現低下している理由を明らかにし、外来性miR-143/145の核酸医薬としての臨床応用やバイオマーカーとしてのエビデンスの蓄積、内在性miR-143/145の発現制御を標的とした医薬品の開発を目的としている。本年度は、動物種間で共通なプロモーターの同定と転写及び転写後制御機構の解析を行った。正常マウスゲノムからヒトmiR-143/145ホスト遺伝子NCR143/145プロモーターと相同性の高いプロモーター領域を単離した。転写に必須のCAAT配列、及び近傍のCArG配列は100%保存され、3T3L1細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにより、Rho-SRF依存的であることが確認された。一方、miR-143/145の標的分子であるElk1は負に制御していることがわかり、発現制御フィードバック機構の存在が明らかとなった。今後は、これらの転写調節機構が癌や疾患でどのように変化しているのか明らかにしていく予定である。転写後調節では、NCR143/145が多くの癌細胞株でプロモーター活性はありながら、ほとんど検出できないほど発現レベルが低いことから、RNAの不安定性が考えられた。そこで、様々なRNA結合タンパク質をsiRNAを用いてノックダウンすることにより、NCR143/145の発現が変化する遺伝子を探索したところ、DDX6の関与が明らかとなった。また、cycloheximideによりP-bodyが消失すると、NCR143/145 RNAが増加し、LPSによりP-bodyが増加するとNCR143/145 RNAが減少することから、P-body内のDDX6を介してNCR143/145 RNAの分解が促進され、その結果、miR-143/145が減少すると結論付けた。現在、この分解がどのようなメカニズムで進行するのか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト、マウスに保存されたNCR143/145プロモーターが単離でき、SRF/Elk1による制御の一端が明らかになったが、癌における発現低下原因まで未だたどりついていない。転写後調節についてDDX6によるP-bodyを介したRNA不安定化のメカニズムが明らかになりつつあり論文作成を鋭意進めているが、年度末の研究所閉所に伴う雑務のため中断した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、NCR143/145の転写を制御する主要な転写因子SRF及びElk1について、癌細胞株での発現量やタンパク質の性状、活性をリアルタイムPCRやWestern Blot、ChIP、ルシフェラーゼアッセイにより調べ、NCR143/145の発現低下との相関や機能異常の有無を検討する。転写後調節では、DDX6を介したNCR143/145 RNAの分解に関わるRNA結合タンパク質について、RIP法やsiRNAノックダウンにより探索するとともに、それらが癌や疾患でどうなっているのか、発現量やリン酸化などによる活性の変化を検討する。また、24年度は研究実施機関の変更に伴い、神経におけるmicroRNA-143/145の発現制御・機能と神経疾患との関係について研究を開始し、合わせてNCR143/145プロモーターを用いた発現調節活性を有する機能性成分のスクリーニングを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は、細胞培養、Westernblot、Real-time PCR、ルシフェラーゼアッセイなどに用いるプラスチック器具、細胞生物学用試薬、生化学用試薬、分子生物学用試薬に消耗品費として80万円、成果発表用の学会旅費に10万円、論文校正、投稿料などのその他に10万円の計100万円を予定している。
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Research Products
(1 results)