2011 Fiscal Year Research-status Report
マラリア感染における記憶CD8+T細胞の再活性化抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
23590487
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30398151)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | マラリア / CD8+T細胞 / 免疫記憶 |
Research Abstract |
『研究の目的』ヒトマラリア感染において免疫記憶が成立持続しにくいことが報告されている。これまでに、我々はマラリア感染で免疫記憶が成立しにくいのは、記憶細胞の分化、維持というよりはむしろ二次応答に問題が有る可能性を示唆してきた。本プロジェクトではなぜ二次応答が減弱するのか、その機構を明らかにする。『具体的な方法と結果』ナイーブOT-I細胞(一時応答)と記憶OT-I細胞(二次応答)を同一マウスに受身移入しOVAマラリアあるいはOVAリステリアを感染させる。様々な臓器(脾臓、肝臓 リンパ節、骨髄、脳、血中)で調べたが、マラリア感染の二次応答は一時応答より小さかった。逆にOVA リステリア感染では二次応答の方が大きかった。さらにFTY720 (リンパ球の移動を阻害する薬剤)をマウスに投与したマウスにナイーブOT-I細胞と記憶OT-I細胞を受身移入しOVAマラリアあるいはOVAリステリアを感染させた。その結果OVAマラリア感染に対して一時応答より二次応答の方が小さいという傾向は変化しなかった。これらの結果より二次応答が減弱している事が裏付けられた。(2)二次応答減弱の原因が抗原提示細胞なのか感染環境なのか明らかにした。ナイーブOT-I細胞と記憶OT-I細胞を同一マウスに受身移入し骨髄由来樹状細胞を用いてOVAペプチドを免疫した。その時野生型マラリアあるいは野生型リステリアを感染させた。その結果、非感染マウスに比べてどちらの感染でも記憶OT-I細胞の二次増加は亢進した。この結果よりマラリアに特徴的な二次応答抑制は感染によるサイトカンなどの環境というよりむしろ抗原提示細胞に原因がある可能性が示唆された。『意義、重要性』マラリア感染で免疫記憶が抑制されている原因を突き止め、その原因を取り除く方策を明らかにすれば、現在研究中のワクチン開発に貢献できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した内容どおりに進展しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
実施計画書に記載した通りに進める予定である。いかに詳細を示す。(1)記憶細胞を活性化しにくいような抗原提示細胞に、マラリア原虫感染赤血球は優先的に貪食され、その抗原が提示される可能性を検討する。(1) B6マウスにOVAマラリアとOVAリステリアをそれぞれ感染させる。(2) 感染率が上昇後脾臓を摘出し、蛍光標識-抗OVAペプチド/MHC抗体、抗CD11c抗体(樹状細胞マーカー)及び抗CD11b抗体(マクロファージマーカー)で染色し、フローサイトメトリーで、各種病原体の抗原を提示する細胞を特定し、マラリア感染とリステリア感染で違いが有るのか調べる。(2)マラリア原虫抗原の抗原提示様式はクロスプレゼンテーションである。クロスプレゼンテーションで提示された抗原では記憶細胞の活性化を誘導しにくいのか検討する。(1) B6マウスより樹状細胞を精製する。クロスプレゼンテーションされる抗原OVA、OVA-ラテックスビーズを取り込ませる。(2) (1)の樹状細胞を使って、ナイーブOT-I細胞と記憶OT-I細胞(1:1) を刺激し、記憶細胞の増殖がナイーブ細胞よりも劣るのかどうかフローサイトメトリーを用いて検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品 1,478,400円(内訳:マウス購入及び飼育800,000円、抗体試薬478,400円、培養試薬類100,000円、プラスチック製品100,000円)、旅費 200,000円 (国内学会2回/年)合計1,678,400円
|