2013 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染における記憶CD8+T細胞の再活性化抑制メカニズムの解明
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23590487
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30398151)
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Keywords | malaria / memory CD8+ T cell |
Research Abstract |
[研究の目的]マラリア感染における二次応答の減弱機構を明らかにする。 [具体的内容] (1) ナイーブOT-I細胞(一時応答)と記憶OT-I細胞(二次応答)を同一マウスに受身移入しOVAマラリアあるいはOVAリステリアを感染させると、マラリア感染マウスでは様々な臓器(脾臓、肝臓 リンパ節、骨髄、脳、血中)において二次応答が一時応答より小さかった。逆にOVA リステリア感染では二次応答の方が大きかった。さらにFTY720 (リンパ球の移動を阻害する薬剤)を投与したマウスにおいても、OVAマラリア感染に対して一時応答より二次応答の方が小さいという傾向は変化しなかった。これらの結果よりマラリア感染では全身的に二次応答が減弱している事がわかった。(2) 感染率が上昇した時点でマウスの脾臓の切片標本を作製し、蛍光顕微鏡でOT-I細胞の局在を観察した。その結果、マラリア感染ではOT-I細胞は主に赤脾髄と辺縁帯において増加していたのに対し、リステリアでは白脾髄であった。またマクロファージもリステリアでは白脾髄に主に存在していたがマラリアでは赤脾髄と辺縁帯であった。(3)二次応答減弱の原因が抗原提示細胞なのか感染環境なのか調べた。ナイーブOT-I細胞と記憶OT-I細胞を同一マウスに受身移入し骨髄由来樹状細胞を用いてOVAペプチドを免疫し、野生型マラリアあるいは野生型リステリアを感染させた。その結果、非感染マウスに比べてどちらの感染でも記憶OT-I細胞の二次増加は亢進した。この結果から、感染環境が二次応答減弱の原因ではない可能性が示唆された。 [結果、まとめ]マラリアに特徴的な二次応答抑制は感染によるサイトカン等の環境変化が原因というよりむしろ赤脾髄における抗原提示およびOT-I細胞の増加が原因である可能性が考えられた。
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