2011 Fiscal Year Research-status Report
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23590490
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新川 武 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (50305190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 健 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, ポスドク研究員 (20448591)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ワクチン / マラリア / 組換えタンパク質 / アジュバント / 三部構成免疫賦活複合体 / 伝搬阻止ワクチン / 三日熱マラリア原虫 / デリバリー機能 |
Research Abstract |
申請者らが開発している三部構成免疫賦活システム(Tricomponent Immunopotentiating System: TIPS)は、リガンドにB細胞指向性を示すZドメイン[Protein A由来イムノグロブリン(Ig)結合ドメイン]を採用し、コアモチーフにCoiled-coil構造タンパク質のひとつであるCartilage oligomeric matrix protein (COMP) の5量体形成部位を採用している。COMPとZドメインを遺伝子工学的に融合させ(COMP-Z)、さらに、その融合タンパク質に三日熱マラリア原虫のオーキネート表層タンパク質Pvs25を化学的に結合させた三部構成複合体(COMP-Z:Pvs25)は、BALB/cマウス(雌6週齢)に皮下投与した場合、タイ国の三日熱マラリア感染患者血液から媒介蚊への原虫の伝搬を完全に阻害する抗血清を誘導した。 我々はTIPSの最小必須構成単位を検証するため、ZあるいはCOMPを除いた二部構成の複合体を構築した。すなわち、ワクチン抗原:コアモチーフ融合体(COMP:Pvs25、リガンド欠損型二部構成)およびワクチン抗原:リガンド融合体(Z:Pvs25、コアモチーフ欠損型二部構成)を構築し、BALB/cマウス(雌6週齢)に皮下投与した。また同時に、二部もしくは三部の構成要素が物理的に結合せず、単に混在しているだけの実験群(Pvs25 + COMP、Pvs25 + Z、Pvs25 + COMP + Z)も設けた。その結果、何れの場合も三部構成複合体と比較し、抗原特異的血清IgGの力価が顕著に低下することが分かった。つまり、三部が共在し、しかも物理的に結合していることがTIPSの機能に必須であることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、寄生虫、特にマラリアに対するワクチンの開発に資する新たな「ワクチンプラットフォーム」を構築することである。特に、アジュバント(免疫増強剤)およびデリバリー(標的化)機能をもつ分子を設計し、将来のマラリアワクチン開発へ繋げる基盤を構築することを目的としている。これまで申請者らは、「三部構成免疫賦活システム(Tricomponent Immunopotentiating System: TIPS)」を開発した(国際特許出願PCT/JP2010/51915)。これは、(1)ワクチン分子、(2)コアモチーフ、(3)リガンドの三部から構成される複合体であり、TIPSの各構成部分は目的に応じて換装(入れ換え)可能である。本研究課題では、このシステムの高度化とマラリアワクチン開発へ向けた基盤を構築しており、また、その免疫学的作用機序を解析している。 本研究の目的の中で特に重要な点は、このTIPSがなぜ三部から構成される必要があるかという点を検証することである。【研究実績の概要】の中でも述べたとおり、今年度、これら三部が必要不可欠な要素であることを実験的に証明したことは、TIPS技術が無駄のない最小単位のシステムであることを立証したに等しいと考えている。本研究の今後の課題として、システムのさらなる高度化と汎用性の検討を進める必要がある。 本研究期間の初年度に今後検討すべき課題の基本的な地盤を固めることができたという理由から、総合的な自己評価として、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、このTIPS技術基盤のさらなる高度化と汎用性を検討する必要がある。特に以下の3点を具体的な本システム高度化のための方法として採用する。(1)自然免疫活性化機構の活用(2)抗原提示細胞への運搬機能およびその抗原提示機能活性化(3)抗原の反復整列化による高分子量化技術の活用 モデル抗原には、酵母Pichia pastoris発現Pvs25H-A(三日熱マラリア原虫伝搬阻止ワクチン候補抗原)および同じくP. pastoris発現のMSP1-19(ネズミマラリアメロゾイト期の抗原)を用いて機能評価することを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の主な使途は消耗品類の購入である。また、日本寄生虫学会、日本ワクチン学会等での研究成果発表のための旅費として研究費の使用計画を立てている。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Adenovirus-vectored Plasmodium vivax ookinete surface protein, Pvs25, as a potential transmission-blocking vaccine.2011
Author(s)
Miyata T, Harakuni T, Sugawa H, Sattabongkot, J, Kato A, Tachibana M, Torii M, Tsuboi T and Arakawa T.
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Journal Title
Vaccine
Volume: 29
Pages: 2720-2726
DOI
Peer Reviewed
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