2011 Fiscal Year Research-status Report
慢性感染成立に寄与する消化管寄生線虫成分と宿主免疫応答
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23590497
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石渡 賢治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00241307)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腸管免疫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウス感染モデルを用いて消化管寄生線虫による慢性感染の成立メカニズムを明らかにする事である。具体的には、急性に感染が終息するNippostrongylus brasiliensis (Nb) 感染と、慢性感染するHeligmosomoides polygyrus (Hp) 感染における樹状細胞とT細胞の応答を比較する事から、慢性感染の成立に寄与する細胞と関与するサイトカインなどの因子の特定、およびそれらを誘導する寄生虫成分を探索する。平成23年度は主にフローサイトメトリーによる細胞の応答を両感染系で解析した。1)フローサイトメトリーによる解析:急性感染系においては、Nbが消化管へ到達した翌日に腸間膜リンパ節での樹状細胞の一過性の活性化が認められた。T細胞においても翌日および翌々日に活性化が認められた。同リンパ節において、Nbが消化管へ到達した3日後にはTh2サイトカインであるIL-4の産生が顕著に認められた(ELISA法によるIL-4タンパクの定量による)。慢性感染系では、急性感染で認められた早期の樹状細胞およびT細胞応答の顕著な変化は認められていない。慢性感染系で先行させている腸間膜リンパ節での制御性T細胞の解析では、内因性の制御性T細胞は増加を認めるが、誘導性の制御性T細胞は減少傾向を示した。2)フローサイトメトリーによる細胞の分取:次年度以降に向けて、フローサイトメトリーによる細胞の分取の準備を行った。Nb感染においてMHC class II分子の発現を変化させた樹状細胞を分取し、同分子の発現に最も深く関わるCIITAの遺伝子発現を検討した。 近年、腸管粘膜免疫における樹状細胞およびT細胞の解析は、細菌感染系においてTh1応答における機序が明らかにされつつあるが、Th2応答は手つかずのままである。本研究成果の粘膜免疫領域へのインパクトは大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)フローサイトメトリーの機器更新により、一度に解析しうる解析パラメーターが増えたが、その設定に手間取った。2)また、それまでのデータと新しいデータとの擦り合わせのための確認データ取得に時間をかけた;とくに急性感染系。3)しかしながら、パラメーターが増えたことで、より的確なデータを得つつある。4)次年度に向けたフローサイトメトリーによる細胞の分取とreal-time PCRによる遺伝子発現解析の実験系を立ち上げた。5)急性感染系と慢性感染系のフローサイトメトリーによる比較解析がまだ終了し得ていないが、その後の実験への移行準備はできた。
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Strategy for Future Research Activity |
残金59,971円は計画的に使用していたうえでの端数であり、来年度の研究経費の一部として使用する予定である。1)フローサイトメトリーによる解析から慢性感染への移行に関与しそうな樹状細胞を特定する。その細胞を分取し、正常マウスのT細胞と培養することで、感染によるT細胞の変化と同じような変化をT細胞に引き起こせるかを検討する。2)さらに、1)で培養したT細胞を正常マウスへ移入して、感染の終息時期を検討する;慢性に移行するか否か。3)慢性感染への移行に関与しそうなT細胞(Tregを想定)を分取し、正常マウスへ移入することで感染の終息時期を検討する。4)2)および3)の細胞移入によって、Hpの1次感染、2次感染の変化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の購入にあてる予定1)実験動物2)フローサイトメトリー解析用抗体3)細胞分離・分取および細胞培養用試薬と消耗品4)細胞の遺伝子発現解析用試薬
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[Journal Article] Role of mast cells and basophils in IgE responses and in allergic airway hyperresponsiveness2012
Author(s)
Sawaguchi-M, Tanaka-S, Nakatani-Y, Harada-Y, Mukai-K, Matsunaga-Y, Ishiwata-K, Oboki-K, Kambayashi-T, Watanabe-N, Karasuyama-H, Nakae-S, Inose-H, Kubo-M
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Journal Title
Journal of Immunology
Volume: 188
Pages: 1809-1818
Peer Reviewed
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