2012 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ睡眠病の治療に直結した新規キナーゼAKB14-3-3-1分子の解析
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23590500
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
井上 雅広 久留米大学, 医学部, 教授 (00232562)
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Keywords | Trypanosoma brucei / 14-3-3 / kinase / cell division |
Research Abstract |
Tb14-3-3とAKB14-3-3-1の結合の生理的意義の解明 Trypanosoma brucei14-3-3(Tb14-3-3)結合タンパクAssociated kinase of T. brucei14-3-3-1(AKB1)は、細胞分裂を制御する蛋白リン酸化酵素である。これまでの研究で、基質となるpeptide motifを同定し、in vivoでのAKB1による基質のリン酸化を判定するのにヒトAKT-substrate antibody(Cell signaling社)を利用できる可能性を示してきた。そこで我々はTetracycline-inducible Tb14-3-3過剰発現細胞, およびノックダウン細胞にAKB1 overexpression vectorをtransfectionした原虫株を樹立し, in vivoでのAKB1による蛋白リン酸化におけるTb14-3-3の役割を調べた。 その結果、Tb14-3-3のoverexpressionにより顕著なAKB1によるリン酸化bandの増強を認めた。また、1)AKB1のTb14-3-3に結合しないC-terminal deletion mutantの過剰発現がAKB1によるリン酸化をwild typeの過剰発現より増強する、2)in vitroでのpeptideをsubstrateとして用いた系ではTb14-3-3をAKB1に加えてもリン酸化の増強は認められない。この2点を考慮すると、AKB1のC-terminal portionがin vivo substrateへのaccessibilityの負の制御を行っており、C-terminal portionにTb14-3-3が結合することにより、AKB1のsubstratesへのaccessibilityが向上したものと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 1) AKB14-3-3-1のdeletion mutantを作成しTb14-3-3に結合しない mutant および kinase-dead mutantを発現させたT. bruceiとwild type AKB14-3-3-1を発現させたT. bruceiと,形態およびgrowthを比較する。これに関しては、AKB14-3-3-1のkinase 活性が存在する野生型AKB14-3-3-1をT. bruceiに過剰発現させると細胞分裂異常がおこるが、Kinase dead 変異体を発現させても細胞分裂は正常に遂行されることが判明した。 2) Tb14-3-3過剰発現あるいはKnockdownさせたT. bruceiにこれらAKB14-3-3-1 mutantを過剰発現させるT. bruceiを作成し、AKB14-3-3-1の基質のリン酸化をモニターする。Tb14-3-3過剰発現あるいはKnockdownさせたT. bruceiにこれらAKB14-3-3-1 mutantを過剰発現させるT. bruceiを作成し、AKB14-3-3-1の基質のリン酸化をモニターする。これに関しては、上記研究実績の概要でのべている。 以上2点より目標は達したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終目標であるAKB14-3-3-1のkinase活性をターゲットとしたインヒビターのscreening 米国Mount Sinai医科大学、ガン科学部門、実験治療部門長、E. Premkumar Reddy 教授の協力により、このAKB14-3-3-3-1のinhibitorをCancer kinase inhibitor library; 2000種類のhuman kinase inhibitorの中から探索する。彼の研究室では、すでに、この中から抗ガン剤のseedのscreeningに成功している。 大腸菌発現vector pGEX4T2 (GST-tag), あるいはpET47b (His-tag)にAKB14-3-3-1の全長あるいはtruncated cDNAをsubcloningし、低温18ºCにてIPTG-inductionをかけ、その後、affinity精製を試みる。V5-tag付きAKB14-3-3-1のTet-inducible overexpressing細胞株からもtag抗体でaffinity精製を試みる。さらに、Gel濾過法にて蛋白の純度を上げたAKB14-3-3-1をMount Sinai医科大学(New York)まで空輸し、E. Premkumar Reddy 教授のscreening 装置にて、inhibitorのseedをscreeningする。Candidate inhibitorが得られたら、それらを用い、in vitroで、昆虫型、あるいは血流型T. bruceiの growth, 形態にどのような変化をもたらすかを、私が調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
タンパク電気泳動試薬一式200千円、抗体および免疫沈降試薬一式250千円、ウエスタンブロット用試薬150千円、タンパク質抽出用試薬(プロテアーゼインヒビター、フォスフォターゼインヒビター)50千円、トリパノソーマ培養試薬150千円、 なお繰越分480千円は、ペプチド合成、リコンビナント蛋白作成、精製試薬および機器に使用する。思いのほか実験が順調に進んだので、消耗品の使用量が減った。今後の進展が困難なので、その分を次年度にまわした。
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Research Products
(4 results)