2012 Fiscal Year Research-status Report
カンジダ感染における留置カテーテルの影響に関する遺伝子機能解析
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23590502
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
知花 博治 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (30333488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 潤 千葉大学, 真菌医学研究センター, 非常勤講師 (40114243)
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Keywords | 国際情報交換 / ポルトガル |
Research Abstract |
病原性カンジダ属真菌は、人常在菌である一方、易感染患者における血流感染原因菌のうち第4位(7-8%)を占め、致死率20-50%に達する重篤な日和見感染症を起こす。カンジダ症の危険因子は多数存在し感染部位も多様であるため、病原性には複数の因子が関与すると考えられているが、未解明な点が多い。我々はカンジダ属真菌のうち一倍体ゲノムを有し、分子生物学的取り扱いが最も簡便なカンジダ・グラブラータを用いて研究を進めている。カンジダ・グラブラータは、糖尿病患者において特に症例数が多く、抗真菌薬の第一選択薬でアゾール系抗真菌薬に対して低感受性あるいは耐性を示す問題点が生じている。そこで、本菌を用いた病原因子の網羅的な遺伝子機能解析を進め、表皮から内臓に至るカンジダの感染経路を研究し、病原性の理解を目指している。本研究課題では、危険因子の中で、最近特に問題となっている留置カテーテルの影響に焦点を絞り、カテーテルを利用したカンジダ・グラブラータの病原性(生存戦略)の解析を進めている。平成24年度には、平成23年度に作製した細胞表層の構成成分に関与すると予測される107遺伝子の一遺伝子欠損株を用いて研究を進めた。107株について培地上での生育状態等を確認し、生育に影響の見られない46株を選出し、これらの株を用いてカイコ幼虫を用いた感染実験を行った。その結果、カイコの致死率に影響を与える5株を選出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は、次世代シーケンサーを用いてハイスループットで解析を進める予定であったが、本シーケンサーから安定した結果を得るに至っていない。そのため、遺伝子の絞り込みが困難となった。そこで、培地上での解析によって感染に影響する可能性があり、感染実験の結果が単純に菌体の生育活性に影響を受けることを避けるために、遺伝子の絞りこみを進め、さらに多検体の感染実験を処理することが可能なカイコ幼虫を用いて感染実験を行った。その修正によって遺伝子の絞り込みはほぼ予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
カイコ幼虫を用いた感染実験によって絞り込みを行った5株について、マウスを用いた感染実験を進める予定である。マウスの感染実験は、尾静脈より菌体を感染させ、2週間後マウスより菌体を回収し、寒天培地に塗抹することにより、菌体のCFUを測定する。その際、血液、腎臓、肝臓などの臓器を採取し、同様に菌体のCFUを測定する。カテーテルの有無による血流、各種臓器などへの播種感染への影響を調べる。研究費は主にマウス研究補助員雇用費と関連する消耗品の購入に使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、当初の計画より多くの遺伝子組換え体の作製に取組んだために、マウスを用いた感染実験は次年度に実施することになった。また研究に専念するため成果報告のための学会発表も控えた。これらの理由により物品費と旅費の実施額が当初の予定より減少した。その分を25年度に繰り越し使用する。 物品費:BALB/cマウス(1300円)50頭、その他に感染実験用器具等 合計13万円 旅費:学会等における成果発表の国内旅費3回分として158,220円 人件費:研究補助員を1名96,000円×12ヶ月として115万円 その他:論文投稿費等15万円
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[Journal Article] The Candida glabrata sterol scavenging mechanism, mediated by the ATP-binding cassette transporter Aus1p, is regulated by iron limitation.2013
Author(s)
Nagi M, Tanabe K, Ueno K, Nakayama H, Aoyama T, Chibana H, Yamagoe S, Umeyama T, Oura T, Ohno H, Kajiwara S, Miyazaki Y.
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Journal Title
Mol Microbiol.
Volume: 88
Pages: 371-81
DOI
Peer Reviewed