2011 Fiscal Year Research-status Report
細菌感染後性末梢神経疾患における菌体シアル化の関与の証明
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23590509
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古賀 道明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60383014)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ギラン・バレー症候群 / カンピロバクター / シアル酸 / ガングリオシド / リポオリゴ糖 |
Research Abstract |
ギラン・バレー症候群は、各種感染症の後に発症する自己免疫性末梢神経疾患である。本症の標的分子として、シアル酸を含有する糖脂質(ガングリオシド)が同定されている。ギラン・バレー症候群発症の規定因子として、本症の原因細菌カンピロバクター・ジェジュニにおけるシアル化が重要であり、「シアル酸含有の多いカンピロバクター・ジェジュニ菌株がギラン・バレー症候群を惹起しやすい」との作業仮説をたて、検証することが本研究の目的である。 本年度は、カンピロバクター・ジェジュニにおけるシアル酸含量を定量できる系を確立した。つまり、平板培地で培養した菌をProteinase処理し、この菌液を粗リポオリゴ糖として用いた。シアリダーゼ(Arthrobacter ureafaciens由来)リコンビナント蛋白(Sialidase A TM:ProZyme, CA, USA)による処理でリポオリゴ糖上のシアル酸を遊離させた後、酵素法で遊離シアル酸を測定した。この系でシアル酸を検出できなかった菌株は、薄層クロマトグラフィーにおけるレゾルシノール試薬染色(=シアル酸を特異的に染色)でもシアル酸を検出できなかった。逆に、レゾルシノール試薬染色でシアル酸を検出できた菌株は今回確立した系でもシアル酸を検出できた。少数例での検討ではあるが、リポオリゴ糖合成関連遺伝子座でクラスB(Gilbert M et al. J Biol Chem 2002)に分類される菌株でシアル酸含量が高い傾向がみられた。以上より、今後は多数の菌株を用いたシアル酸定量が可能となり、作業仮説の検証を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたレゾルシノール試薬によるシアル酸定量の系の感度が悪いことが判明し、ごく少量のシアル酸を定量する新しい測定系を樹立する必要があったため、研究の進捗に若干の遅れが出た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立した実験系を用いて、本研究の作業仮説を検証する環境が得られた。今後はGBS症例から分離されたカンピロバクター株を対象にシアル酸定量を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の通り、H23年度は予定していた実験系の変更を要したため、多数例での解析が十分できず消耗品費が低額となり、H24年度へ繰越金(1,031,311円)が生じた。H23年度にできなかった実験をH24年度に行う必要があり、多数例を対象にした実験のため、プラスチック製品や試薬などの多くの消耗品を要し、その購入に多くの研究費を費やす予定である。
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Research Products
(16 results)