2013 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染後性末梢神経疾患における菌体シアル化の関与の証明
Project/Area Number |
23590509
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古賀 道明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60383014)
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Keywords | カンピロバクター / ギラン・バレー症候群 / シアル酸 / ガングリオシド |
Research Abstract |
ギラン・バレー症候群(GBS)は、各種感染症の後に発症する自己免疫性末梢神経疾患である。グラム陰性桿菌Campylobacter jejuniが最も高頻度の原因病原体であるが、GBSを惹起しやすい菌側因子として、GBSの標的抗原であるガングリオシド(GM1やGD1aなど)エピトープの発現や、特定の遺伝子群(リポオリゴ糖[LOS]合成関連遺伝子座Class A)が報告されている。しかし、(神経疾患を合併していない)腸炎患者からの分離株も一定の割合でGM1エピトープや遺伝子座を有し、GBS惹起に他の因子が関与することは明らかである。本年度は、GM1エピトープやLOS遺伝子座以外の、ギラン・バレー症候群の高リスク因子を同定することを目的として、GM1エピトープやLOS class A遺伝子座を有するC. jejuni菌株の中でも、ガングリオシドの主要成分であるシアル酸を多く含有する菌株が高リスクとなるのかを検討した。その結果、GM1エピトープやLOS class A遺伝子座を有する菌株に限定して解析しても、GBS患者由来株と腸炎患者由来株(=対照)との間にシアル酸の含量に有意差がないことが分かった。今回の検討では、C. jejuniにおけるシアル酸修飾の程度が、GBSの発症に関与することを証明できなかった。GBS株や腸炎株いずれにおいてもGM1エピトープを高頻度に発現しているものの、GBS株はGM1とGD1aエピトープを両方発現しているのに対し、腸炎株ではGM1エピトープのみ単独で発現していることが多い。つまり、複数のガングリオシド・エピトープが菌体上で複合体を形成することで、新たなエピトープを作り出し、それによってGBSの発症リスクが高くなっていることが予想される。今回の検討で、分子相同性を示す自己抗原の「量」より「質」の方が重要であることが示唆された。
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Blood-brain barrier destruction determines Fisher/Bickerstaff clinical phenotypes: An in vitro study2013
Author(s)
Saito K, Shimizu F, Koga M, Sano Y, Abe M, Tasaki A, Maeda T, Haruki H, Suzuki S, Kusunoki S, Mizusawa H Kanda T.
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Journal Title
J Neurol Neurosurg Psychiatry
Volume: 84
Pages: 756-765
Peer Reviewed
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[Journal Article] NMO sera down-regulate AQP4 in human astrocyte and induce cytotoxicity independent of complement2013
Author(s)
Haruki H, Sano Y, Shimizu F, Omoto M, Tasaki A, Oishi M, Koga M, Saito T, Takahashi T, Nakada T, Kanda T.
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Journal Title
J Neurol Sci
Volume: 331
Pages: 136-144
Peer Reviewed
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