2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590513
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小倉 裕範 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (60304557)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 自然免疫 / インフラマソーム / NLRP3 / NLRC4 |
Research Abstract |
本研究ではふたつの細胞内シグナル伝達タンパク質、NLRP3およびNLRC4直接活性化する分子(リガンド)の同定を目指している。 リガンドの探索のため、平成23年度は(1)無細胞系においてNLRP3およびNLRC4を活性化する系の実現性、および(2)セミインタクト細胞においてNLRP3およびNLRC4を活性化する系の実現性を検討した。(1)の目的のために細胞を溶解する際の界面活性剤の種類や溶存する塩類を検討したが、その過程で、NLRP3およびNLRC4の共通の下流因子であるASCタンパク質を活性化するためには細胞の構造がある程度保持されている必要があることが示唆され、完全な無細胞系においてNLRP3およびNLRC4活性化経路を構成することは困難であると考えられた。(2)の目的のために、必要な細胞株など材料を準備したが、セミインタクト細胞を調整し、シグナル伝達経路の再構成を検討する段階にまで至らなかった。(1)および(2)に加えて、(3)マクロファージ由来の脂質によって NLRP3およびNLRC4が活性化される可能性を検討した。本研究を提案する前に行った予備実験においてこの可能性が示唆されていたが、当該予備実験の結果を確実に再現することはできなかった。実験結果に影響を及ぼす未知の因子があることが示唆されたが、いまだそれが何であるかは不明である。 平成23年度は論文や学会発表として公表できる成果を挙げることはできなかったが、提案していた3つの可能性の検討を行うことができ、今後の方針を決める判断材料を得た。さらにこの結果を踏まえて、研究の新たな方向性を探り始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究提案の代表研究者は平成23年4月に所属施設を替わり、新しい所属施設において新規に研究室を立ち上げ、新たに研究環境を整備しなければならなかった。そのため、研究計画の開始が予定よりも遅くなった。また、予定外の支出があり、予定した研究のための物品を揃えることができず、計画の一部を遂行することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
NLRP3およびNLRC4のリガンドを探索・同定するために(1)無細胞系によるシグナル伝達系の再構成、(2)セミインタクト細胞におけるシグナル伝達系の再構成、(3)マクロファージ由来脂質によるNLRP3またはNLRC4の活性化、の可能性を探っていたが、平成23年度の検討の結果(1)および(3)の実現は困難であることが示唆された。したがって(1)および(3)のこれ以上の検討を中止し、平成24年度は(2)に絞って、検討を継続する。すなわち、平成23年度に作製、準備した細胞などを用いてセミインタクト細胞を作製し、この中でシグナル伝達系を再構成できる条件を探る予定である。 研究代表者が現在所属する研究施設では、表面プラズモン共鳴センサーによる分子間相度作用解析装置(GE社、BIACORE)を利用できる。そこで、当初の研究提案に加えて、当該装置を用いたリガンドの探索の可能性を探ってみたい。NLRP3またはNLRC4の組換えタンパク質をセンサーに固定し、リガンドを含む溶液を作用させれば、NLRP3/NLRC4とリガンドとの結合をセンサーの共鳴として検出できるはずである。このような検討を進めて、リガンドの同定につなげたい。 最近、米国の研究グループからミトコンドリア由来DNAがNLRP3タンパク質に結合し、リガンドとして作用するという報告がなされた。この報告の再現性を確認し、別の方法によってもミトコンドリアDNAがリガンドとしてふるまうかを確かめたい。一方、NLRC4の活性化に関しても、研究代表者が予想していた様式とは異なるモデルが提案され、リガンドと呼ばれるような分子が存在しない可能性さえ考えられている。これらの報告についても可能なかぎり再現性を確認し、研究代表者が想定するようなリガンドの存在の有無を明らかにしなけらばならない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は全て消耗品の購入にあてられる。実験に用いる試薬およびプラスチック器具が主な消耗品である。
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[Presentation] 免疫と栄養
Author(s)
小倉裕範
Organizer
第10回日本栄養改善学会近畿支部学術総会
Place of Presentation
奈良市
Year and Date
平成23年12月11日
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